仕事に思いやりを取り入れる

 リモートワークプレイスにおいて、リーダーはどのように思いやりのある行動を促進することができるのか。

 第1に、みずから模範を示すのがよい。人々は当然ながら、地位が高いチームメンバーの行動をよく見ている。リーダーが従業員をほめたり、称賛の言葉を口にしたりすれば、チームメンバーはその行動を真似して、チームに思いやりの規範をつくろうとする機運が高まる可能性が高い。

 第2に、ズーム会議の際に「思いやりの時間」を設定して、チームメンバーが自由に互いの仕事を称えられるようにするのもよいだろう。多くの時間を取る必要はない。1週間に数分でも十分だ。しかし、この数分がチームの士気を高め、社会的つながりを強化する。数カ月にわたるプロジェクトのほとんどがズームで進められる場合には、なおさらだ。

 第3に、少額の臨時ボーナスを検討する。グーグルなどの企業では、従業員同士仕事の成果や貢献について称賛し合い、会社の資金から少額の報酬を贈り合う「ピアボーナス」制度を導入している。これは、わずか数ドルであっても、ポジティブな効果をもたらすことができる。

 研究によれば、人間は小さな思いやりにも、大きな思いやりと同じくらい感謝する。メールでギフトカードやささやかなプレゼントを贈ることにも、同じ効果を期待できるかもしれない。組織が多額の費用をかけなくても、誰かに評価されていることを知らせるだけで、思いやりの心理的便益をもたらすことができるのだ。

 思いやりの力は、ますますオンライン化が進む社会の悪影響を緩和できる。思いやりのある行動は、それを広く波及することで職場の文化を一変させことができる、リーダーシップの必須スキルだ。


"Don't Underestimate the Power of Kindness at Work," HBR.org, May 07, 2021.