この表をひな形にして、自分のチームのガイドラインを設定しよう。拙著Digital Body Languageでも紹介したが、この規範づくりの話し合いのためにミーティングを計画してほしい。開かれた対話を促進するため、ミーティングはグループのブレーンストーミングやワークセッションのような形で実施する。
話し合いを活発にするための質問を紹介しよう。
(1)次の各チャネルで、最も協働的だった経験はどのようなものか。
・IM(マイクロソフト・チームズ、スラック、スカイプなど)
・メール
・ビデオ通話
・テキストメッセージ(該当する場合)
(2)それらのポジティブな経験に基づき、各チャネルで設定すべき規範は何か(具体例として表の右端の列を参照)。ガイドラインを設定する際には、メッセージの長さ、複雑さ、返事までの時間について考える。
・IMのメッセージでは、どれくらいだと長すぎるか。
・グループIMの参加人数に制限を設けるべきか。
・テキストメッセージを送るとしたら、いつが適切か。
・メールの場合、返信までの時間はどれくらいだと予測されるか。
(3)ハイブリッドオフィスに移行したら、リモートワークの従業員はどのように参加し、潜在的なバイアスを避けるか。
(4)多くの人が非同期に仕事をしていることを踏まえ、全員の個人の時間を尊重しながら、仕事をしている時にはどのようにコミュニケーションをとればよいか。
チームのコミュニケーショの規範を確立したら、難しいのはそれを定着させることだ。人は従来の方法に戻る習性があることを考慮し、筆者はチームと協力して2~3人の「チャネルの代弁者」を任命した。各チャネルでのベストプラクティスを奨励し、正しい行動を具現化している人を称えるのが役割だ。
また、複数のチャネルで不必要に内容を重複させる状況をなくすために、誤ったチャネルにメッセージが送られた場合、返信にハッシュタグ「#killduplication」(重複をなくそう)をつけるという対策を考えた。
誰かが新しいハイブリッドコラボレーションの規範を守らなかった場合、新たな行動の学習を呼びかけるより、楽しみながら促進できる方法として、ハッシュタグをつけて反応するよう奨励されている。「#killduplication」のついたフレーズは、いまやチーム文化の定番となり、時間の無駄を省き、メンバーが各デジタルメディアを最適に利用するのに役立っている。
私たちはいま、リモートワークからハイブリッドワークへと大きく移行している最中にある。このシフトが進む中、マネジャーはチームとのデジタル・コミュニケーションに関する規範を確立することが不可欠だ。詳細なガイドがあれば、誰がどこで仕事をしているかにかかわらず、チーム全員が同じ認識と期待を持つことができる。