●一人ひとりの役割をはっきりさせる
あなたの評判を守るためには「期待と役割を明確化すること」も有効だと、ホワイトは言う。
たとえば、あなたと問題の同僚がいくつかのプロジェクトの特定の要素に関して、共同で責任を負っているとしよう。その場合、それぞれのプロジェクトごとに「リーダー役をはっきり決める」よう提案するとよいと、ホワイトは言う。
リーダー役を交代で担うことにより、「説明責任を明確化する」ことも有効だ。ホワイトいわく、これにより自分がリーダー役の時の成果に関しては、「少なくとも手柄を確保できる」のだ。
このような会話に上司を引き込むことが重要だと、ウッツィは言う。上司が介入して「ジャネットがこの業務を担当し、ディーパックがこの業務を担当する」と決定すれば、上司はそれぞれの業務に関して誰が責任者なのかを把握できる。「その結果、成果を上げられていない同僚は、もっと質の高い仕事をしようというモチベーションを抱くことができる」と、ウッツィは指摘する。
●ほかの人たちを引き込む
問題の同僚との関係を変える方法としては、ほかの人を引き込むのも有効だと、ウッツィは指摘する。「2人組は、人間関係のバランスが崩れることが珍しくありません。2人の人間関係のどこかに、(相手の)創造性やモチベーションを削ぐ要素があるのかもしれません」。その点、第3の人物を引き込めば、「人間関係のあり方が変わって」信頼関係が育まれるという。
そこで、誰を新しく引き込めば大きな効果がありそうか、そして、その人物がどのように貢献できそうかを考えてみよう。「それは2人が持っていないスキルの持ち主でもよいし、創造性に優れた人物でもよい。アイデアをぶつけると、適切なコメントをしてくれる人でもよい」
そのような人物を正式に新メンバーとして迎えることができないなら、「一緒にランチに行くだけでも」あなたと問題の同僚のコミュニケーションを改善する効果が期待できると、ウッツィは言う。もう一人の人物が加わることにより、問題の同僚は「対人関係上も、職業上も」もっと高い成果を上げようというインセンティブを持つのだ。
●それ以外の人間関係を育む
所属部門外の人との人間関係を育むことは、キャリア形成の面で常に賢明な行動だと、ホワイトは言う。特にパフォーマンスが悪い同僚と組んで働いているときは、そうした人間関係があなたの命綱になる場合もある。
「部門外の人との人間関係を育むことの利点は、仕事が楽しくなることだけではありません。所属チーム外の人たちの間に評判を築けるという利点もあります」。その意義は、「チームの状態が良好でない」場合にとりわけ大きいという。
職場で新しい人間関係を築くように努めよう。他部門の人と一緒にランチを食べたり、コーヒーを飲んだりする時間を確保しよう。他部門の社員と話してみよう。「いまどんな仕事をしているのか。最近の仕事について聞かせてよ」などと言えばよい。
この戦略は、不平不満を言ったり、所属チームを見放して離脱したりするより、はるかに好ましいと、ホワイトは言う。「自分の問題を解決しようと努めることになるからです」
●尻ぬぐいをやめる
最後に、パフォーマンスの低い同僚がそのままの状態であり続けることを許してはならない。もちろん、人助けはよいことだ。けれども、誰かの失敗や能力不足の尻ぬぐいをすることは「長続きしない」と、ホワイトは指摘する。
研究によれば、特に女性がこの落とし穴にはまりやすいとわかっている。「女性に対しては、他人を助けることが期待される風潮があります」と、ホワイトは言う。
このような行動パターンに陥らないように気をつけたほうがよい。「あなた自身に害が及ぶし、やがてはチーム全体にも害が及びかねません」と、ホワイトは言う。そのうちに、「自分自身に対して怒りの感情を抱くようになります」とのことだ。
その人物が絶えずあなたの足を引っ張るようであれば、その状態を長く耐え続けることはできないと、ウッツィも警告する。あらゆる手立てが奏功しなかった時は、ほかの会社に転職したり、社内で異動を願い出たりすることを考えるべきかもしれない。
●覚えておくべき原則
【やるべきこと】
・現在の状況を変えるために、自分に何ができるかを考える。他人を変えることはできないからだ。
・第三者を引き込むことにより、その同僚との関係をよい方向に変えられないかを考える。
・所属部門外の人たちとの関係を育む。そうすれば仕事が楽しくなるし、あなたの職業上の評判を守ることもできる。
【やってはいけないこと】
・その状況を生み出すうえで、自分が及ぼした影響を無視してはならない。「私の行動が影響していないだろうか」「その同僚は私の振る舞いをどのように感じているだろうか」と考えるべきだ。
・問題の同僚について、上司に不満を言うべきではない。上司に話す時は、慎重に振る舞ったほうがよい。
・同僚の尻ぬぐいをすることが常態化してはならない。あなたのキャリアに悪影響が及ぶ危険がある。さまざまな戦略を試しても状況が改善しない場合は、職場を変えることを考えたほうがよい。