インクルージョンに対する
従業員の認識を把握する

 不確実かつ急速に変化する現代の労働環境では、従業員からのフィードバックが人材に関するあらゆる決定にとって重要な情報源になる。

 職場や家庭、あるいは自分を取り巻く世界の混乱に直面すると、従業員の感情や意見は、年次で実施されているエンゲージメント調査で把握している以上に、急速に変わる可能性がある。また多くの組織は、ハイブリッドワークという比較的新しい労働環境にも対処している最中だ。

 従業員のフィードバックは、インクルージョンを測定するうえで最も有用なデータソースにもなる。従業員の状態を把握するために、仕事の妨げにならない範囲で「パルスサーベイ」、すなわち簡単な調査を行う場合はなおさらだ。だが、難しいのは、まずは適切な測定基準を確立し、適切な質問を投げかけることだ。

 この課題に対処するために、ガートナーでは、DEI担当エグゼクティブ30人以上に対する定性的なインタビュー調査と、学術文献や既存の指標に対する広範なレビューに基づき、インクルージョンモデルを構築した。

 こうした研究の結果、インクルージョンのための7つのカギを特定することができた。すなわち、公平な待遇、相違の統合、意思決定、心理的安全性、信頼、帰属意識、そしてダイバーシティだ。

 さらに、世界中の従業員1万人以上を対象に調査を実施した。具体的には、これら7つの要素に関連する45の文章を提示し、それぞれについて同意レベルを尋ねた。そうして得られた回答を分析し、インクルージョンの要素それぞれについて、最もうまく表現している文章を選び出した。

 この分析結果から、組織は7つの質問を投げかけることで、自社のインクルージョンの全体像を把握できるだろう。この「ガートナー・インクルージョン指数」を構成する7つの文章は、以下の通りだ。

(1)公平な待遇:私の組織では、組織の戦略目標達成を助ける従業員は、公平に報酬を与えられ、その功績を認められる。
(2)相違の統合:私の組織の従業員は、互いの意見を尊重し、大切にする。
(3)意思決定:私のチームのメンバーは、他のメンバーのアイデアや提案を公平に検討する。
(4)心理的安全性:私は職場で、自分の本当の感情を表すことを歓迎されていると感じる。
(5)信頼:私たちが組織から受け取るコミュニケーションは、正直でオープンだ。
(6)帰属意識:私の組織の人々は、私のことを気にかけてくれている。
(7)ダイバーシティ:私の組織のマネジャーは、従業員全体と同じくらい多様性がある。

 つまり、こうした文章に対する従業員の同意レベルが高いほど、その組織はインクルーシブだと言える。

 ガートナー・インクルージョン指数は、インクルージョンを幅広く多面的に定義し、従業員のリプレゼンテーション認識を1つのカテゴリーにすることにより、ダイバーシティという関連コンセプトにも対処している。

 ダイバーシティとインクルージョンは、それぞれ顕著なコンセプトだ。そして、それ自体がパワフルになりうる。しかし、2つが組み合わさった時に初めて、組織は望ましい結果を得ることができる。この指数にダイバーシティを含めることにより、組織はインクルージョンの他の側面とともに、従業員のダイバーシティに対する認識を理解したうえで、行動を起こすことができるのだ。

 これらの調査結果があれば、リーダーは従業員の認識について基本的な測定基準を設定し、チーム内の変動性、さらに広範には組織内の部分間で矛盾する部分を突き止めることできる。また、従業員のデモグラフィック属性を検証することもできるだろう。

 従業員がポジティブな認識を持っていることがわかればよいのは間違いないが、一貫性を測定することも、組織が徹頭徹尾インクルーシブであるか、それとも平均値に隠れた有毒な部分や排他的な側面があるかを判断するうえで欠かせない。