潜在的な落とし穴

 従業員のセンチメントは、インクルージョンを前進させるうえで極めて重要だが、従業員のセンチメントに関するデータを集め、それに基づいて行動を取ることは難しい。多くの組織が共通して、以下のような落とし穴にはまりがちだ。

●行動計画に着手するのに、時間がかかりすぎる:リーダーが調査結果を受け取るまでに数週間後あるいは数カ月かかり、さらに数カ月をかけて行動計画に反映させるというタイムラインは役立たない。ガートナーでは、短期間で対応できるジャストインタイム式のパルス・アプローチを提案している。たとえば、HR部門のリーダーは、あらかじめ報告書のサンプルを作成し、それを使って、異なる地域および/または事業部門のパートナーに結果の解釈や提示方法の研修を行うことができる。

●調査結果が、行動計画の全面的指針になると考える:ガートナー・インクルージョン指数のような枠組みを活用すれば、極めて有用なインサイトや長期的なベンチマークを得られる。しかし、それ以外にもプロセスに必要な情報があるはずだ。

 リーダーはまず、問題領域だけでなく、比較的点数が高かった領域に関するインタビューにも時間をかけなくてはならない。こうした領域は、さらなる改善のきっかけを与えてくれる可能性がある。

 また、調査を実施する前に、たとえば一貫性のある紛争解決といったリーダーシップチームがすでに把握している課題もあるだろう。こうした課題に取り組む努力も、インクルージョン行動計画の一部に組み込まなくてはならない。

●従業員調査の結果として対策が講じられたことを周知しない:従業員は、自分の意見が実際に組織の変化につながったことを知りたいと考えるものだ。そのためにリーダーは、総合的な調査結果と調査後に予定されている次の行動を知らせる計画を立てなくてはならない。従業員が調査のインパクトを直接目にすれば、今後さらに正直な意見を言うようになるだろう。

 ガートナーの研究では、DEIを確実に測定し、アカウンタビリティを確保し、インクルージョンを人材登用の決定とプロセスに組み込んだ組織は、そうでない組織に比べて、組織的インクルージョンが20%も高いことが報告されている。

 現在、チームや人材登用プロセスの管理方法に関する決定の多くが、流動的な状態にある。ポストパンデミックの環境を見据えて台頭しつつある、ハイブリッドワークや新たなビジネスアプローチに対応するため、さまざまな変化が起きている。

 リーダーは、これらの課題に取り組みつつ、インクルージョンを測定して管理することも「やることリスト」から外れないよう努めなくてはならない。

【編注】
1)2017年に発足した、職場でのダイバーシティとインクルージョンを推進する世界規模のCEO連合体。
2)組織の代表集団に組織全体のジェンダーや人種構成が反映されていること。


"How to Measure Inclusion in the Workplace," HBR.org, May 27, 2021.