
従業員エンゲージメントを高めて、仕事に愛着を持って働いてもらうのは、平時でさえ難しい。在宅勤務の常態化で、それはいっそう困難になっている。本稿では、コロナ後を見据えて、従業員の生産性を低下させる仕組みや慣行を根本から見直すための6つのポイントを紹介する。
ギャラップの調査によると、従業員の85%が仕事に愛着を持てていない。強みと価値観の不一致、自己啓発の欠如、指揮命令型のマネジメント、頭を使わないシャローワーク、プロセス重視で変化を好まない文化などが、エンゲージメントの低さにつながっている。
これはパンデミックが発生する「前」の話だ。パンデミックにより、世界中の高度なスキルを持つ労働者の半数以上がリモートワークを余儀なくされ、物理的な断絶がエンゲージメントを悪化させている。
仕事と家庭の境界線がより曖昧になり、労働時間は長くなっている。しかし、ベストセラーDeep Workの著者のカル・ニューポートによれば、「毎日3~4時間、集中して仕事をするだけで、生産性や生活に大きな変化がもたらされる」という。
在宅勤務の大規模な試みは、働き方を見直し、よりよいものにする機会を与えてくれる。下記についてよく考えてほしい。
非同期的コミュニケーション
世界のウェブサイトの35%を構築するオートマティックのCEOマット・マレンウェッグは、リモートワークを熟知している。同社の従業員1170人は完全なリモートワークだ。
マレンウェッグはリモートワークを円滑に機能させるため、リアルタイムではなく、個々が都合のよい時に返事をする非同期的コミュニケーションの重要性を説く。過剰に反応するのをやめると、まとめて処理するバッチ式や書面によるコミュニケーションを中心とした文化が生まれるからだ。それによって知識労働者はより深く、意味のある仕事に時間を割くことができる。
しかし、新たにリモートワークを実施している組織のほとんどは、メール、インスタントメッセージ、立て続けの電話を絶え間なく行い、オフィスをオンラインで再現しているにすぎない。マネジャーは以下を実行することで、そうした状況を変えることができる。
●やるべきこと
・反応の速さよりも集中力と成果を重視する。
・インスタントメッセージやメールはバッチ処理することを促進する。
・可能な場合は会議や電話ではなく、書面でのコミュニケーションを優先する。