価値観の一致

 幸福の基本は、みずからの価値観に沿って生きることであり、それは職場の文化や企業のミッションにまで及ぶ。

 企業のミッションや文化に合致した人材を採用することは不可欠だ。『PEAK PERFORMANCE』の著者であるブラッド・スタルバーグは「パーパスは世界最大のパフォーマンス向上剤」と述べている。これはデータ的にも裏付けられており、デロイト トーマツ コンサルティングの報告によると、パーパス主導の企業は従業員の定着率が40%も高い

 ●やるべきこと

・一般的な誠実さや信頼、チームワーク以外の、企業のバリューを定義する。そして、それらのコアバリューを共有し、組織のミッションを心から信じている人材を採用する。

強みの一致

 自身の弱点に対処することは尊いことだが、人にはそれぞれ、特定の分野で優れた能力を発揮する性質がある。

『ストレングス・リーダーシップ』の著者トム・ラスは、優れたリーダーは自分の強みを知っていると言い、「短所に注目すると、彼らは自信を失う」と記している。また、ギャラップの調査によると、自分の強みを活かして仕事をすると、仕事にエンゲージする可能性が6倍になり、生活の質が高いと答える割合が3倍になる。

 ●やるべきこと

・採用の際には、職務内容と強みが一致している人材を探す。すぐに成果を上げるようになるだけでなく、やる気につながる前向きなフィードバックループを構築するからだ。
・初歩的でプロセス重視、低リスクの業務は、自動化とアウトソースをすることで時間を確保し、従業員がベストを発揮できるようにする。

変革の実行

 組織内に新たな委員会を設置し、注視するのではく、従業員が将来、生産的になるための措置を講じる。

 ●やるべきこと

・コスト削減と従業員の維持の双方に焦点を当てて変革を組み立て、意思決定者の賛同を得る。
・そうした組織改革を検証するために、少数の小規模なプロジェクトを設ける。
・初期の成功例を活用して、組織全体に確信と関心を持たせる。学んだことを他のチームと共有し、勢いを持続させる。アイザック・ニュートンの「運動の第一法則」にあるように、動いている物体は動き続ける。

 高パフォーマンスの文化は、従業員の能力を最大限に引き出すだけでなく、優秀な人材を惹きつけ、組織に大きな競争力をもたらす。いまこそ、組織や人材を「サボタージュ」(妨害)するのではなく、組織や人材のためになるように力を尽くす時だ。


"Stop Sabotaging Your Workforce," HBR.org, May 27, 2021.