Benne Ochs/Getty Images

ポストコロナに向けて、多くの企業がタレントマネジメントの全面的な見直しを迫られている。ビジネスの立て直しを図るには、従業員が非常に重要な役割を担っていることを企業が認識し、これまで以上に優秀な人材を確保して、維持することが不可欠になっているからだ。しかし、未来の従業員が組織に何を求めているかを知らなくては、実現は難しい。本稿では、知識労働者とHRディレクターを対象に行った調査から、彼らが能力を最大限発揮するために、今後の働き方に何を望んでいるかを明らかにし、ビジネスリーダーが未来のタレントマネジメントを通じて、自社のビジネスを前進させるための処方箋を提示する。


 この1年は、あらゆる分野でデジタル・トランスフォーメーション(DX)が加速した。レジリエンス(再起力)のある従業員は、企業の真の活力源であるだけでなく、ビジネスを立て直すうえで、従業員全体が極めて重要な役割を担っているという認識が高まった。こうしたことから企業は、優れた人材を引きつけ、維持し、管理する方法を全面的に見直し始めている。

 筆者が勤務するシトリックスは、HRマネジャーと知識労働者が現在、未来の労働者についてどのように考えているかを知りたいと考えた。

 そこで筆者らは、シトリックス・システムズの「ワーク2035」プロジェクトの一環として、「タレント・アクセラレーター」と名づけたグローバル調査を行った。これは、現時点のパターンやプランを検証することで、仕事が今後どのように変化していくか、そして従業員がその能力を最大限に発揮するうえで、テクノロジーがどのような役割を果たすのかを理解しようという、1年がかりの試みだ。

 同調査では、大手企業および米国に500人以上の従業員を持つ中堅企業に所属する知識労働者計2000人以上とHRディレクター500人を対象にリサーチを行い、その結果をまとめた。また、両グループとも、調査時点で期間の定めのない雇用契約を交わし、新型コロナウイルス感染症の影響で現在あるいは最近まで在宅勤務をしていた従業員を対象としている。