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自分の人生に意義を見出し、自分には存在意義があると思いたいのは、人間の基本的な欲求であり、いまに始まったことではない。しかし、コロナ禍で死のような実存的なトピックにより深く意識が向くようになり、自分の人生に何が意義をもたらすのかを再検討している人が多い。このような実存的危機に直面している従業員に対して、企業はどのようなサポートができるのか。本稿では、マネジャーが実践できる3つの行動を提示する。


 自分の人生は意義あるものだと考えたいという感情は、人の基本的な欲求だ。自分が存在意義のある人間だと思いたいのだ。

 これは、いまに始まったことではない。しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミックをきっかけに、恐怖や不安や孤独や悲しみの感情が長く続く中で、自分の人生を意義あるものにしている要素が何かを再検討した人が多い。

 数多くの研究が明らかにしているように、死や、そのほかの重い実存的なトピックについて考えた時、人は自分の人生に充実感をもたらすものに意識が向くようになる。

 なぜか。人生に意義を見出すことにより、単に限りある人生を生きているだけでなく、自分がより大きく、長期的なものの一部になったように感じられる。その結果として、実存的な不安を和らげることができるのだ。

 このように人生の意味を探す態度は、仕事に関係のある行動や意思決定にも影響を及ぼす可能性がある。その中には、どこで働くかに関する意思決定も含まれる。

 いま多くの人は、コロナ禍という機会に、みずからの人生における仕事の位置づけを再検討し始めている。2021年3月に行われた調査によれば、米国の労働者の26%がコロナ禍の終息後、いまの職を辞めて新しい職を探すつもりだと答えている。この割合は、ミレニアル世代(現在、米国の労働力人口で最も大きな割合を占める年齢層だ)では34%に達している。

 本稿では、従業員がこうした実存的な問いに対処するのを助けるために、マネジャーができることを3つ指摘したい。そのような支援を行うことは、従業員を会社につなぎとめる効果もあるかもしれない。