仕事の意義を高める

 家族や友人と過ごす時間に人生の意義を見出す人が増えるといっても、仕事が生きがいと無関係なわけではない。むしろ、現実は正反対だ。

 人々は仕事をすることにより、大切な家族の生活を支え、地域コミュニティに貢献することができる。また、研究によると、人は仕事にやりがいを感じられる時、仕事への満足度が高まり、仕事へのコミットメントも高まる。したがってマネジャーは、役職に関係なくすべての部下に対して、自分の仕事が重要な意味を持っていると感じられるようにする必要がある。

 それぞれの職務記述書の中で、その仕事が会社全体のミッションとどのように結びついているのかを明記すべきだ。もし可能であれば、従業員の職務上の義務を定めて、仕事へのアプローチの仕方を決めるプロセスに、その従業員自身も参加できるようにすることが望ましい。そうすれば、仕事を通じて得ることのできる充実感が高まる可能性がある。

 ギャラップの世界的な調査によると、組織に雇われて働いている人の3人に1人は、会社のミッションやパーパスによって、自分が重要な仕事をしていると感じられるという考え方に強く賛成している。

 また、命の危険を感じさせるコロナ禍の経験を通じて、地域コミュニティと世界に貢献できる会社で働きたいという思いを強めた人も多いかもしれない。筆者の研究チームによれば、生きがいを大切にしている人ほど、コミュニティの環境改善など社会性の高い目標を抱く傾向があるとわかっている。

 マネジャーは、自社が社会にどのように貢献しているかを強調することにより、従業員が自分の仕事と大きなミッションを結びつけられるようにすべきだ。

 そのためにチーム単位と全社規模のミーティングや祝賀イベントに時間を割き、自社のミッションがどのように社会貢献につながるかを強調し、それに関する最新の情報を従業員に伝えるとよい。その際、従業員がミッションの達成にどのように役立てるかも示すべきだ。