●会社の文化を学ぶ

 搾乳室の利用方法は、組織によって異なる。オンラインでの登録やスケジューリングが必要な会社もあれば、直接部屋をノックして誰も使っていなければ利用できる会社もある。事前に何が必要かを調べて、職場復帰の初日に驚かない、そして大失敗しないようにしよう。

 実際に搾乳室を見れば、もっと多くのことがわかる。どのような機器が備わっているか。そして、搾乳室を利用する誰もが快適に使えるようにするために、あなたは何をしなくてはならないか。

 病院レベルの搾乳器から冷蔵庫、流し台など、すべてが揃っている部屋もあれば、電源の近くに椅子が置いてあるだけの部屋もある。

 もしそれが共有スペースであるなら、自分の搾乳器を置いておけるか、あるいはロッカーがあるか。他の母親は自分の機器や母乳入りパックに、どうやって自分のものだという目印をつけているか。備え付けの消毒用ウェットシートなどがあるか。

 部屋を出る時は元通り、あるいはそれ以上にきれいにして、他の母親が気持ちよく使えるように整える。誰でも搾乳は、衛生的な環境で行いたいものだ。

 ●スケジュールを確立する

「母乳の量を増やしたいなら、規則正しく搾乳することが重要だ」と、ポッターは助言する。1日に何回、どのくらいの時間搾乳する必要があるかを見極める。これは子どものニーズや授乳習慣によって異なるため、自分にとって最善の方法を見つけよう。

 また、1回の搾乳時間をどのくらい取る必要があるかも考える。15分もあれば十分だと思ってはいけない。機器を設定したり、片づけたりする時間も必要だ。チューブをほどいたり、ボトルや母乳を入れた袋にラベルをつけたり、テーブルを拭いたりするのはすぐだと思うかもしれないが、余分に時間がかかるのは間違いない。

 ●境界線を設定し、周囲に伝える

 カレンダーにあなたの搾乳時間を書き込む。そうすれば、周囲が知らずに予定を入れてしまい、ダブルブッキングになるのを防ぐことができる。あなたにとって搾乳が「時間が決まっている重要な作業」であることを、周囲に知らせることもできるだろう。

 また、同僚に対して境界線を引くことも重要だ。あなたにとって搾乳は最重要事項かもしれないが、同僚にとっては、あなたが搾乳器と保冷剤を持って歩いていくのを見かけるまで、忘れていることかもしれない。

 カレンダーに搾乳時間を入れておけば、「予定あり」とブロックしてあるだけでも、その時間を尊重してほしいと周囲に伝える最初のステップを踏んだことになる。だが、その場で主張しなければいけない状況もあるだろう。

 たとえば、その時間に会議が入りそうになったり、会話が長引いたりした時は、自分が最もやりやすい方法で、中座することを知らせよう。「出席できません。搾乳があるので」と率直に伝えてもよいし、単に「午後1時には必ず終わらせたいので」と言うのでも構わない。

 搾乳のためにバーチャル会議やテレビ電話に対応できない場合には、「カメラをオフにしても、いますぐには参加できません」と伝える。同僚は、あなたが職場で搾乳する必要があることを知っていても、その境界線を明示しない限りは「いま、搾乳する必要がある」ことはわからない。

 どの方法を選ぶにしても、搾乳をスキップしないこと。搾乳のタイミングを逃すと、母乳量が減ったり、不快感を覚えたり、乳管が詰まったり、ひどければ乳腺炎になる可能性さえある。