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問題を抱えている相手から相談されれば、頼られていると感じて悪い気はしないかもしれない。だが、それが上司と部下の場合には注意が必要だ。リーダーがそれらしい解決法を教えても、現場の知見によってみずから導き出した方法でなければ問題解決には至らず、マイクロマネジメント化が進み、彼らのやる気も自信も削いでしまうことになるからだ。筆者は、リーダーは具体的な解決策を示すのではなく、メンバー自身が創造的に問題解決するために、3つの質問を投げかけることを奨励する。


 一緒に仕事をしている相手が込み入った問題に直面すると、筆者に助言を求めてくることが少なくない。そうした時には、つい気をよくしてしまう。彼らは明らかに困惑していて、筆者が答えを持っていることを期待している。

 筆者が最初に思いつくのは、椅子に座って自分のあごをなでながら、印象的な話を1つか2つ披露して、それから彼らに何をすべきか教えることだ。

 これは相手に大きな満足感を与えるアプローチだが、機能することはほとんどにない。

 第1に、自分が問題を正しく解決していない可能性がある。筆者には、現場の最前線に立つ人々の知見がないため、似通った出来事だと思う自分の過去の経験に頼ることになる。

 第2に、チームは筆者の答えを聞いて安心するが、それを実現するために十分な努力をすることはおそらくないだろう。自分たちのアイデアではないため、よい結果が出なければ、「最初からうまくいかないとわかっていた」と上司を責めることになりがちだ。

 失敗すると、責任のなすり合いが始まる。筆者は「自分のアドバイスはよかったのだから、彼らのやり方が問題だったに違いない」と自分を納得させ続ける。

 そして次の機会が訪れると、彼らが再び失敗しないように、もっと具体的に説明する。そうして瞬く間に、ますますマイクロマネジメント化する破滅のループに陥る。

 筆者は彼らの成功を願いながらも、彼らの能力では実行できないのではないかと疑問を抱く。その結果、過干渉の親のように、彼らが担うべき役割に介入してチームの自信を削ぎ、将来のリーダーとして必要なスキルを身につける機会も奪ってしまう。