このアプローチには長い歴史がある。
最初の経営コンサルタントの一人で、その思想が広く影響を与えたフレデリック・ウィンズロー・テイラーは、経営者に対して従業員を厳しく監督するよう教える一方、従業員はできる限り忙しく見えるように装いながら、本来すべき1日の仕事量の3分の1から2分の1程度しかこなそうとしていないと警告した。
労働者は自分を管理できるほど賢くないため、管理者が考えて指示しなければならないというのが、テイラーの主張だった。1911年に発表した『科学的管理法』の中で、ルーチンワークを行う労働者は「非常に愚かで、非常に無気力で、その精神構造は他のどのタイプよりも牛に近いだろう」と書いている。
今日では、こうした考え方は完全に誤っているように見える。米国では、25歳以上の人口の33%近くが学士号以上を取得している。若い世代はデータに詳しく、テクノロジーにも精通している。
また、米国の労働者の30%は、先進国で最も急速に成長しているクリエイティブクラスに属している。クリエイティブクラスは、金銭的なものではなく、みずから選択できる能力といった内発的動機づけを重視することが、研究によって明らかになっている。
テイラーのアプローチが近年、リーダーシップに関する別の解釈に取って代わられているのは当然のことだ。
マイクロソフトCEOのサティア・ナデラは、就任後初のインタビューで『ニューヨーク・タイムズ』紙に、次のように語っている。「リーダーがやるべき最も重要なことは、自分が率いる人々の自信を高めることだろう」
3年後、ナデラは著書『Hit Refresh』の中で、それをさらに強く主張している。「私の主な仕事は、10万人のインスピレーションに満ちた心、つまりマイクロソフトの従業員が、私たちの未来をよりよく形づくることができるように、自社の文化を調整することだと理解するようになった」
筆者は、アジャイルな働き方について研究と学習を重ねる中で、課題を抱えたチームメイトに答えを与えるのではなく、次の3つの質問をすることが誰にとっても有用であるという結論に至った。