よいアイデアを持つ人が貢献することを許されないと、彼らはやる気を失ってしまう。調査によれば、世界的に見ても仕事にエンゲージしていると感じている従業員は15%に留まっている。

 タフツ大学フレッチャー・スクール教授のアマル・ビデは、成功しているスタートアップの70%以上は、創業者がビジネスのアイデアを考案したのは、以前の組織で働いている時であることを明らかにした。企業は、そうした優れたアイデアを活かす方法を見つける代わりに、後に何百万ドルも支払ってそのスタートアップを買収することになるのだ。

 筆者が所属するベイン・アンド・カンパニーが行った調査によれば、人々の時間、才能、エネルギーを抑制しない企業では、従業員のエンゲージメントが高く、生産性は40%も高いことがわかっている。

 しかし、マネジャーが従業員とどう接するかは、生産性や利益を超えた重要な意味を持つ。

 今日では、多くの人々が「パーパスのある仕事」は矛盾だと認識していることを示す、懸念される統計がある。世界の成人の過半数(56%)が、資本主義は利益よりも害悪をもたらすと考えている。

 米国では従業員の60%以上が自分は「燃え尽きている」と答え、彼らは「足による投票」をし始めている。一部の経済学者が「大退職時代」(グレート・レジグネーション)と呼ぶ現象が起きる中、米国の労働者の半数以上が転職を考えているのだ。

 彼らにとって、新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、「人生は悪い仕事に費やすには短すぎる」という気づきに従って行動するための警鐘となっている。

 従業員がイノベーションを起こし、創造的な情熱を発揮できるような職場をつくることで、リーダーは会社の短期的な業績を向上させると同時に、雇用主と従業員との間で交わされる契約を必要に応じて再考することに貢献することができる。

 リーダーは、悪い仕事をよい仕事に変える力になることができる。そして、それは3つのシンプルな質問から始まる。


"3 Questions to Help Your Team Solve Problems," HBR.org, August 13, 2021.