(1)あなたの提案は何か
この質問をすると同僚は一瞬、当惑するかもしれないが、その驚きが消えると仮説を用意して議論に臨むようになる。提案が用意できなければ、しばらく一緒にブレインストーミングをすることもあるが、最終的にはそれも中断して、提案ができたら戻ってくるように言う。
彼らに任せる前に、筆者は必ず次のように伝える。「あなたたちを信頼している。あなたたちは私よりもこの件に精通しており、状況が変化しても適応する方法がわかるはずだ」
筆者の推測では、イノベーションのための最も実用的で有効なアイデアの75%は、顧客やオペレーションに最も近い現場の従業員から生まれる。彼らは象牙の塔にいる人々よりも、顧客の不満やオペレーションの現実、テクノロジーの可能性、他の問題もはるかによく理解しているからだ。
(2)どのようにすればテストできるか
そこで、魅力的な提案が生まれたとしよう。何か、面白くなりそうなものだ。では、どうすればそれを試してみることができるか。テストファーストのアプローチならば、リーダーは比較的低コストかつ低リスクで、チームのアイデアを試してみることができる。
筆者は、たとえ彼らのアプローチに懐疑的であったとしても、口論を始めたり、理論的な議論に加わったりするのではなく、チームに対してはプロトタイプをつくり、それがうまく機能するどうかを確認するように促している。時には、それに驚かされることもある。
筆者が、ダニエル・カーネマンやダン・アリエリーをはじめとする行動科学者から学んだのは、「顧客はこうであるはず」という合理的推測に頼るのではなく、創造的かつ現実的な実験によって顧客の真の行動を発見することだ。
ビジネスのシステムは、時計のように分解して、修理し、元通りにできる類の複雑さではない。さまざまな要素が相互に依存し合う複雑さだ。正しいと思われるアイデアでも、現実には期待通りにいかないことがある。
テストすることで有用な驚きを得ることができ、意図的に実践を重ねることで、それがうまくできるようになる。
(3)私に何を求めているのか
それぞれのチームに対して、どのような障害が待ち構えているかを考え、それに対処するために私に何ができるかを教えてほしいと助言している。どのようなリソースが必要か。資金か、テスト環境か、あるいは特定のスキルを持ったチームメイトへのアクセスか。
そうすることで、筆者は適切な責任を負い、彼らの仕事を調べたり妨げたりするのではなく、促進して加速するように努めている。