
インドの料理宅配会社ゾマトが上場し、その企業価値評価は120億ドルとも言われる。不動産や実物資産を持たない企業が、なぜ世界中の投資家から高く評価されるのか。本稿では、ゾマトやウーバーやエアビーアンドビーのように、現代の優れたテック企業に共通する6つの特徴を示す。
2021年7月中旬、料理宅配会社のゾマトがインド株式市場に上場した。新規株式公開(IPO)への応募倍率は35倍に達し、企業価値評価は120億ドルとされる。
不動産や実物資産もない赤字企業が、なぜこれほど高い企業価値評価を受け、フィデリティやモルガン・スタンレー、カナダ年金基金やシンガポール政府といった世界中の著名投資機関を引き付けるのだろうか。
ゾマトは伝統的な食品事業を運営しながらも、現代のテック企業を象徴している。農場、食料品店、飲食店、倉庫、トラックや配達車両を保有せず、ドアダッシュやスキップ・ザ・ディッシズと同じように調理済みの料理を宅配する。このビジネスモデルは、ウーバーやアマゾン・ドットコム、エアビーアンドビーといったテック企業と似ているが、フェイスブックやリンクトインのようなテック企業とは微妙に異なる。
筆者らは以前の論稿で、ウィーワーク自身の主張とは反対に、同社はテック企業ではないと論じた。ウィーワークのIPO失敗とゾマトの成功が教えてくれるのは、「現代のテック企業」とそうでない企業を分けるものは何か、である。
業界全体の変革、猛烈な速さでの規模と範囲の拡大、莫大な利益の創出――これらすべてを、巨額の資本投資を必要とせずに実現できるのが、現代の優れたテック企業であると筆者らは考える。彼らは通常、以下6つの特徴のほとんどまたはすべてを有している。