対処法の一つとして明らかなのは、オフィス内、あるいはフェイスブックのフィード上でコンフリクトアントレプレナーと距離を置くことだ。妥協を許さない言葉を使う人や、争いの新たな展開を喜ぶ人からは、安全な距離を保つのがよい。

 しかし、コンフリクトアントレプレナーと距離を置くことができない場合には、どうすればよいのか。彼らが同じチームの一員、もしくは自分の部下あるいは上司で、一緒に仕事をしなければならない場合には、相手を無視することはできない。

 彼らは、自分の目的のために相手を巻き込む方法を知っている。自分が同僚からいかに不当な扱いを受けたかについて、説得力のある感情的な話をすることが多く、善意の同僚を言いくるめて、互いに疑念を抱き、相手を避けて、貶め合うように仕向ける。そうなれば、問題は瞬く間に広まっていく。

 コンフリクトアントレプレナーを批判することも、賢明ではない。弁護士でハイコンフリクトを起こす人々への対応を専門とするメディエーターでもあるビル・エディは、「事態を悪化させるだけだ」と言う。「変化を促すのではなく、コンフリクトをエスカレートさせてしまう」

 問題の従業員を解雇するか、他の方法で別の場所に移せば、解決につながることもあるが、事態をいっそう悪化させることもある。

 ある小規模なテック企業の経験豊富なマネジャーは、数年前に初めてコンフリクトアントレプレナーに遭遇した。問題の発端は、その従業員が定例会議の場で、自分以外の人々が昇進した理由を知りたいと言い始めたことだった。それは質問という体裁を取っていたが、実際には要求だった。

 その従業員は「強硬な態度だった」と、マネジャーは言う。「私は不意打ちを食らった。穏便に済ませようとする姿勢はなく、あるのはすべて曖昧さを許さない白黒思考だった」

 マネジャーは当初、その従業員がつらい時期にあるだけで、状況は改善すると思っていた。しかし、その従業員は共有カレンダーを調べ始め、一部の人だけが会議に呼ばれる理由を知りたがった。さらに、若手従業員に対して会社の決定事項に関する誤った情報を広め、時には公の場で苦情や文句を言わせた。

 対応に苦慮した上層部は、自分のカレンダーを隠して、噂を消そうとした。その従業員を解雇することも考えたが、そうすれば訴訟を起こされる懸念があった。

「こんなことをする人と一緒に仕事をしたいとは思わないし、そんなエネルギーもない」と、マネジャーは筆者に語った。「私たちは疲れ果ててしまった」

 では、どうすればよいのか。弁護士、セラピスト、コンフリクトメディエーターをはじめ、世界各地でハイコンフリクトを起こすパーソナリティに対処している人々が勧めるのは、いくつかの常識とは異なる具体的な行動を実践することだ。あなたの直感に反するものかもしれない。そして、それらを慎重に行うのだ。