
職場において衝突や対立が起きるのは、むしろ健全なことだ。しかし、時間や信頼、エネルギーを奪い合う「ハイコンフリクト」が生じると、事態は悪化し、組織全体に悪影響が及ぶ。その原因となるのが、「コンフリクトアントレプレナー」と呼ばれるパーソナリティの持ち主だ。何らかの目的で悪質な衝突や対立をあおる彼らを批判しても、問題は解決しない。相手を異動させたり、解雇したりすれば、状況はいっそう悪化する可能性がある。悪質なコンフリクトを生む相手を回避せず、適切に対処するにはどうすべきか、その具体的な方法を提示する。
職場のコンフリクトには、さまざまな形がある。衝突や対立が「よいコンフリクト」、すなわち健全なものであれば、私たちを人間としてもコミュニティとしてよりよいものにする。ほとんどの組織は、よいコンフリクトを減らすのではなく、増やす必要がある。
しかし、コンフリクトは時として悪質なものになる。貴重な時間や信頼、エネルギーを奪い、仲間を対立させ、現実を歪める。これは「ハイコンフリクト」と呼ばれるもので、手に追えなくなり、最終的にはほぼ全員が悪影響を受ける。
ハイコンフリクトの原因は何か。筆者は4年間にわたり、この疑問について調査し、個人的なものから仕事上のものまで、悲惨な争いに巻き込まれた人々を追った。すべての事例に共通していたのが「コンフリクトアントレプレナー」の存在だ。
彼らは、自分の目的のためにコンフリクトをあおる。何らかの利益を求めていることもあるが、注目を浴びるため、あるいは権力を手にすることが目的である場合も多い。
すべての組織に存在するわけではないが、筆者の調査によれば、病院や大学、あるいは政治団体や擁護団体など、特定の職場により多く存在すると見られる。
あなたが一緒に仕事をした人について考えてみてほしい。その人は自分を擁護するメールを書くのに、すべて大文字にした言葉を使って強調したり、業務には無関係だが役職の高い同僚の何人かをccに入れて送信したりする。
スラックあるいはソーシャルメディアを使ってまで、会社やリーダーに関する噂や疑惑を広める人もいる。たいていの場合、こうした行為は1度や2度ではなく、何度も繰り返される。