以下は、筆者がさまざまな組織で目にしてきた、よいコンフリクトの事例である。

1. 問題が発生したら、まずは問題を起こした当事者と話す(違法行為や暴力、危険な行為の場合は除く)。直接会うか電話で話す。どのような形でも、文書でのコミュニケーションは避ける。
2. 解決案を用意する。
3. 意見の相違がある場合は、純粋な好奇心を持って、多くの質問を投げかける。
4. 意見の相違は変わらないとしても、相手の意見を振り返り、自分の理解が正しいかを確認する。
5. スラックをはじめ、不健全なコンフリクトを生む可能性のあるツールの利用をやめる。ワークフロー上、それが難しい場合は、そうしたツールを誠実に使うための方法についてコンセンサスを取る。
6. 信頼できるメディエーターを見つけ、必要に応じて困難な対話のファシリテーションを依頼する。
7. よいコンフリクトの行動には公然と頻繁に報い、またそうした行動を実践して示す。特に、新入社員のオンボーディングに際しては、よいコンフリクトの実例を伝える。特に若手社員が上司に対して、相手を中傷することなく、あるいは中傷されることなく、厳しい質問をぶつけた例などがあれば、それを伝える。
8. 人ではなく、問題をターゲットにする。
9. 影で噂話をしたり、匿名で攻撃したりしない。
10. ネガティブな接触が1回あったら、ポジティブな接触を少なくとも3回重ねる。これは可能な限り対面で行う。夕食をつくってくれた相手や、コーンホールのゲームで打ち負かした相手を非人間的に扱うのは難しいものだ。

 目標は、コンフリクトのない状態にすることではなく、よいコンフリクトを生じさせることだ。前述したテック企業では、問題のコンフリクトアントレプレナーは最終的にみずからの意思で退職した。「振り返ると、非常につらい」と、マネジャーは打ち明けた。「もっと早く対処していればよかった」

 この会社は現在、よりよいコンフリクトの習慣をつくるために積極的に取り組んでいる。「私たちは、健全なコンフリクトを持ち続けなければならない。それが、私たちがよりよくなる方法だ」


"How to Work with Someone Who Creates Unnecessary Conflict," HBR.org, August 17, 2021.