常につながっているけれど
全員が集合することはない
今回の調査は、デジタル勤務に終業時間はないという、いまや聞き慣れた現実を裏づけている。
チームのメンバーはそれぞれ平均で1日8時間以上、仕事ができる状態にある。その基準は控えめで、1時間のうち30分以上、仕事用のコンピュータを使っている状態を指す。具体的には平均で1時間に45分、24時間の勤務のうち6.1時間、PCに向かっている(1つ目のグラフを参照)。
リモートワークの1日は、チームのメンバーと一緒に仕事をする午前9時~午後5時の8時間と、個別に仕事をする残り16時間の2つの時間帯に分かれる。前者の時間帯は平均50~70%の同僚とオーバーラップし、基本的に一緒に仕事をしていると考えられる。一方で、より長い「オフ」の時間帯は10~50%の同僚とオーバーラップしており、別々に仕事をしていると考えられる。
グラフのデータから、いくつか重要なことがわかる。
メンバーが最もオーバーラップする午前9時~午後5時のあいだには、午前10時と午後3時という2つのピークがある。それ以外の時間帯は低空飛行が続くが、全員が完全にオフになる時間帯はない。
この洞察には、リモート/ハイブリッドワークでマネジャーが考慮しなければならない4つの経験的観察、いわゆる「部屋の中の象」が含まれている。すなわち、デジタルワークは「1人で変則的な時間に働く」、デジタルワークの1日は「事実上、終わりがない」、デジタルチームは「基本的に全員はそろわない」、デジタルワークの1日は「正午前後の制約がより重要になる」の4つだ。
まず、デジタルワークは「1人で変則的な時間に働く」。午前9時~午後5時という「通常の」勤務時間は、リモートワークへの移行期も残っているが、チームとしての仕事の成果の60%を占めるにすぎない。平均的なチームの平均的なメンバーは基本的に、勤務時間の40%をメンバーとは別に、そして通常の勤務時間外に働いている。
次に、デジタルな1日は「事実上、終わりがない」。1日を通してあらゆる時間帯にチームのメンバーからメールが届くことは、いまや当たり前になった。早起きしてログインする人もいれば、夜遅くまで仕事をする人もいる。
今回のデータが示す通り、これは散発的な現象でも一過性のものでもない。チームに携わるメンバーが最も少ない午前4時台でさえ、10%以上のメンバーが30分以上、仕事をしている。サンプルのチームの規模は10.2人なので、昼夜を問わず、常に誰かがオンラインで仕事をしていることになる。
続いて、デジタルチームが「全員そろうことはほとんどない」。今回のデータではいくつかのチームが、メンバーが直接会う機会を疑似的につくっていた。つまり、従来の勤務時間中にチームの90%がオンラインになるように調整していた。
ただし、これは標準的な試みではない。全22チームの平均的なオーバーラップは午前10時~11時が最大で約71%、そこからいったん減った後、午後3時~4時に再び増加して60%になる。したがって、どの時間帯でも、チームの少なくとも29%がオンラインの状態ではない。
最後に、「正午前後の制約が重要になる」。オーバーラップは午前10時を過ぎると徐々に減少し、午後0時~1時にいったん下げ止まり、午後3時の次のピークに向けて徐々に回復する。このゆっくりとした減少と、やはり時間をかけた増加は、異なるメンバーが異なるタイミングで休憩を取るからだ。昼休みを一斉に取る社会的な理由はなくなり、デジタルの世界では自分の時間に合わせて昼食にする。
こうした変化によって、デジタルワークの1日は、従来のオフィスワークとは実質的にも心理的にも異なるものになっている。