●メンバーと個別に対話し、計画を立てる

 必要なのは、それぞれのチームメンバーと1対1で話をすることだ。そうすることで、各自が置かれた固有の状況を理解できる。相手と親しい関係にあったとしても、思い込みは避ける。状況は常に変化しているからだ。

「日常生活で何が起きていて、それが仕事にどのような影響を及ぼしているかについて、部下が安心して話せる環境をつくることで、今後に向けた最善策が見出せる」と、ヒルは言う。

 同時に、仕事で何が求められているかを明確に伝えることを、ヒルは提唱する。「あなたがやり遂げる必要がある仕事はこれです。できそうですか」と尋ねるとよい。そのうえで、部下の考えに耳を傾ける。状況を考慮に入れたうえで、今後どうするのが理にかなうかを一緒に決めることもできるだろう。

 だからといって、部下の成績不振をずっと我慢しなくてはならないと感じる必要はない。「チームメンバーの生産性が改善されず、仕事で何が求められているかを明確に伝えても、それに応えられないなら、あなたは決断を下す必要がある」と、ヒルは説明する。最終的には、その仕事を誰かがしなくてはならないのだ。

 ●チーム全体で取り組む

 責任を果たすように促す最善策の一つとして、グループレベルで取り組むことが挙げられる。チームメンバーに対して、個々にプレッシャーをかけるのではなく、互いに説明責任を果たしていることを確認できるようにするのがよい。

 ハーシュが言うように、「アカウンタビリティは集団目標であり、メンバー全員が達成できる方法をチームとして見つけることができれば、最善の形で機能する」。

 そのためには、チームで集まり、ともに問題を解決する。ヒルが提案するのは、「いまのような状況であと6カ月働かなくてはならないと仮定した場合、どうすれば、仕事で最善を尽くせるか。全員でチームのパフォーマンスを改善するには、どうするのがよいか」といった問いかけをすることだ。

 ●自分自身を大切にする

 従業員のケアをしている間も、自分自身のことをなおざりにしてはならない。リーダーであるあなた自身も、チームメンバーと同じようにストレスを感じたり、成果を上げるためにプレッシャーにさらされたりしているはずだ。

「概して、マネジャーが板挟みになっていることが多い」と、ハーシュは語る。「上層部が設定した目標を達成すると同時に、従業員のウェルビーイングにも気を遣う」ことは、かなりの難問だ。「不確実性が高く、対立が増えている状況をどう乗り越えるかというプレッシャーも加わっている」と、ハーシュは言う。

 したがって、自分自身のケアに時間を取ることを忘れてはいけない。そこには、十分な睡眠を取ること、健康的な食事をすること、運動をすること、必要なサポートを確保することが含まれる。

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 目標を達成しようと努力しつつ、常にチームへの配慮を欠かさないためには多大な労力が必要になる。そう考えると、思いやりを示すことをやめたくなる衝動に駆られることもあるだろう。しかし、それでも思いやりを持ち続けることが欠かせない。

 当然ながら、部下のためにできることとできないことがあることについては、現実的に考える必要がある。だが、マネジャーは思いやりを「自分の部下に対する投資」と考えるように、ダットンは促す。しかも、それは「莫大な利益を生み出す投資」である。


"Managers: Compassion and Accountability Aren't Mutually Exclusive," HBR.org, August 16, 2021.