出張理由についての思い込みを再考する

 ワクチン接種を受けた人が増え、飛行機での移動について認識されていたリスクが低下するにつれ、2020年以前のようにビジネス会議や業界のカンファレンスに出席するために、人々が気軽に飛行機を利用するようになるかが広く議論されている。

『ニューヨーク・タイムズ』紙の記事が、この問題に関する調査結果と見解をわかりやすくまとめている。

 出張がコロナ前のピークに戻ることはないとの予想に筆者も同意するが、社内会議のための出張を避けようとしているCEOに対しては懸念している。人間関係を構築するうえで対面の会議が有効なのは、リーダーがわざわざ相手の元に足を運ぶことで、敬意が示されるからだ。

 同様の理由で、筆者らは以前から、すべての会議を役職が高い人のオフィスで行うのではなく、オフィス内の部下がいる場所に足を運ぶことをCEOに勧めている。

 以前の調査でCEOに最も多く見られた誤りが、顧客と対面する時間が不足していたことだ。今後は従業員、特に本社から離れたチームと対面する時間が不足するのではないだろうか。

 そうなると、社内の人と接する時にタスクを重視しすぎるようになり、従業員との人間関係も同じように重要であることを忘れてしまうおそれがある。CEOには、社内のチームと対面するためにも定期的に飛行機に乗ってほしい。

 それを意図的に行う方法の一つが、相手ごとにビデオ会議と対面会議の目標比率を設定することだ。

 たとえば、長年の顧客と話をしたい場合は80対20、つまり80%をビデオ会議にして、20%を対面にすることを目指すとよい。本社から離れた場所に勤務している従業員など、頻繁に会わない従業員とは50対50の割合が適しているだろう。18カ月間、主にビデオ会議を続けてきた取締役会も、50対50を目標にするとよいかもしれない。

 いずれにしても、重要なのは意図的に目標を設定し、その効果を評価して、必要に応じて再調整することだ。