●求人ポジションの応募要件を吟味し、より応募しやすくするために条件をシンプルかつ簡潔にする。
「神話:理想的な候補者を見つける最善の方法は『候補者の完璧なプロフィール』を厳格に設定し、高い条件を課すことだ」
ダイバーシティ採用の取り組みは、最初に空きポジションの定義をした時点で失敗することが多い。なぜなら、「候補者の完璧なプロフィール」を設定することによって、著しく高い条件を満たさなければいけなくなるからだ。
過小評価グループの応募者は、求人ポジションに極めて関連性の高いスキルを持っていても、そのプロフィールは従来型の人材のプロフィールとは異なるかももしれない。誰もが名門大学を卒業しているわけでもなければ、あなたが好む企業で働いていたわけではないかもしれない。
応募者を「型にはまったプロフィール」に基づいて絞るという思考は捨てよう。必要な資格や経験を細かく指定するほど、それに当てはまる候補者の数が限定されてしまうのだ。
筆者らが2021年1月に、過小評価グループの求職者を対象に実施した調査によると、求人情報に排他的な表現が含まれていたとする回答者が50%に達した。ジョブディスクリプションをよりインクルーシブにする方法を、以下に紹介しよう。
・高学歴の要件を外す。学位に関する条件は、いっさい入れないことにしてもよいかもしれない。学位が仕事での成功につながらず、採用候補者の数を減らすだけであることは、証明済みだ。
・特定の組織、業界、あるいは名門大学の出身者だけを採用する慣例と縁を切る。
・好ましい資格についても、求人情報から削除する。求職者に応募を思い留まらせるからだ。絶対に必要な資格以外に言及してはいけない。
●それぞれのポジションごとにダイバーシティ採用戦略を策定する
「神話:すべてのポジションに同等の成果をもたらす、普遍的なダイバーシティ採用戦略が存在する」
よく見られるのが、従来と同じ外部チャネルのみを通じて採用活動を行うべきだという誤解だ。現実には、もっとたくさんの選択肢がある。そして、その多くはあなたの目の前に存在しているのだ。
・採用候補者の構成と組織の中でダイバーシティが最も欠如している場所を検証することで、どこに注力すべきかを把握する。
・特定のポジションについては、社内の昇進によってダイバーシティを高めることを考える。
・チームに権限を与えて、それぞれが自分のネットワークを活用し、積極的に過小評価グループの求職者を紹介する役割を課す。
・当該のポジションを埋める強力な人材源となりそうな、新しい非伝統的なネットワークについてブレインストーミングを行い、長期的かつ互恵的なパートナーシップを構築する方法を考える。