●勤務日のスケジュールを柔軟にする
従来のように綿密にスケジュールを定めた勤務日は、屋外を楽しむ障壁になりかねない。
屋内環境は、最新テクノロジーのおかげで簡単にコントロールできるが、屋外に出るとなると、どうしてもある程度、自然環境に左右されることになる。地理的状況や季節によって、外で過ごすのに理想的な時間帯は、多くの労働者が屋内にある机の前で座って働くことを求められる時間帯と重なる。
1日のスケジュールをより柔軟にとらえ、季節あるいは他の関連要因に基づいて、従業員みずからがスケジュールを組み立てる機会を与えれば、屋外で過ごすのに最適な時間帯をもっと活用しようという気になるだろう。
たとえば、日照時間が短く寒い時期に、1日の真ん中で長めの休み時間を取ることができれば、屋外で何かをしようとする意欲が増す。勤務前か勤務後に外出できるように、1日の勤務時間を地域によって早くしたり遅くしたりするのもよいだろう。
屋外での運動は、体の健康から得られる恩恵と自然の中で過ごすことで得られる恩恵を融合できる優れた方法である。いくつかの研究が、屋外での運動は屋内での運動に比べて、心理的ウェルビーイングを改善させることを示唆している。
また、公園を散歩するといった屋外での軽い運動でも、心理的効用があるのは明確だ。たとえば、自然の中を歩くことは、ジムの中にあるトレッドミルの上で歩くよりも気分を向上させることが、研究でわかっている。
しかし、1日の勤務スケジュールに柔軟性がなければ、従業員が体の健康のために屋外に出る可能性は減るだろう。天気のように、外に出て運動をしたくなる度合いに影響を与える要因に加えて、運動をしたい時間帯は人によって異なる。
ユーガブアメリカの調査で、自分が運動したい時間帯を米国の成人に尋ねたところ、50%が午前、26%が夜間、19%が午後を好むと答えている。各自が運動したい時間帯と屋外活動に最適な時間帯をうまく利用できれば、屋外で健康増進のための活動を行うモチベーションがいっそう高まるだろう。
1日の勤務スケジュールが柔軟であれば、子育て中の従業員が徒歩で子どもの通学に付き添ったり、校外活動や放課後のスポーツをはじめとする子どもの屋外での活動にボランティアとして参加したりする機会も増やせる。
ここでも重要なのは、日々の勤務スケジュールを自己裁量で組む自由があれば、その分、自然がもたらす恩恵を享受する機会が増えるという点を認識することだ。