
組織のリーダーが外部の専門家に助言を依頼しても、そこから得られる成果には大きな差が出ることが多い。その原因は、リーダー自身の「支援を受ける能力」に違いがあることだ。相手をパートナーとしてともに問題解決に奔走するリーダーがいる一方で、問題を丸投げするリーダーもいる。どれだけ質の高い助言があっても、リーダーがそれを活かすことができなければ、コストに見合う成果はおろか、問題も解決されないままに終わる。本稿では、社外の専門家による支援を受けるにあたって、最大限の成功を手に入れるために、リーダーが留意すべき3つの要素を紹介する。
ビジネスリーダーに専門的なアドバイスを提供することは、いまや一大ビジネスになっていると言ってよい。経営コンサルティングビジネスは、世界の市場規模が1600億ドルに達し、米国だけで100万人近いコンサルタントが雇用されている。
しかし、そうしたコンサルタントのアドバイスには、どの程度の恩恵があるのか。それは、アドバイスの受け手次第という面が大きい。
筆者は20年以上にわたり、以前は社外のコンサルタントとして、現在は社内のリーダーシップアドバイザーとして仕事をしてきた。これまで協働してきたリーダーの中でも、特に大きな成果を上げているのは、2つの主要リソースからアドバイスを受け取ることに長けている人だった。
そうしたリーダーは、社内では、チームメンバーや同僚、マネジャーのインサイトを上手に引き出す。一方、社外では、専門家やアドバイザーに依頼して、リーダーシップに関する助言を受ける。これは、コンサルティングやエグゼクティブコーチングという形を取る場合が多い。
これに対し、ことのほか成果を上げられずにいるリーダーは、社内外のアドバイザーを上手に活用するスキルを十分に身につけていない。
筆者はアドバイザーとして、このようなサービスに同じ金額を費やしても、手に入れられる成果がリーダーによって異なる理由について、常々考えてきた。
一方では、筆者らに興味深い問題をぶつけて、一つのチームであるかのような感覚をもたらし、ともにミッションの達成を目指すリーダーがいる。このようなリーダーは、アドバイザーが持つ質の高い思考、革新的なアドバイス、そしてハードワークの恩恵を受けることができる。
しかし、他方では、目の前の問題を過度に単純化して考えたり、成果を得るために何が必要かを過小評価して、筆者のような助言者を単なる外注先のように位置づけたりするリーダーもいる。
このような状況では、アドバイザーが質の高い仕事をしても、そのリーダーは機会を活かしてコストに見合う成果を得られないだけでなく、解決したいと考えていた問題も解決できないままで終わる。