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新型コロナウイルスの感染拡大で転職を躊躇していた人たちが、新たな機会を求めて一斉に動き出そうとしている。しかし、焦って辞表を書く前に、いまの会社に留まる価値がないかを考えたほうがいい。多くの従業員が退職することで組織が大きく変わり、思いもよらないチャンスが巡ってくる可能性がある。本稿では、会社に留まるべきかを判断するうえで重要な5つのポイントを紹介する。


 従業員が会社を辞めるのに、いま以上によい時期があっただろうか。

「グレート・ワーククエイク」「グレート・レジグネーション」「グレート・リセット」など呼び方はさまざまだが、現在41%もの従業員が転職を考えている。彼らが退職を検討する理由は数多くある。好調な労働市場が賃金を押し上げ、福利厚生を拡充させ、企業は新しい人材を獲得するために特典を充実させている。

 いまの会社の有害な文化や感謝を示さない文化、柔軟性に欠ける勤務形態、給与の不公平さにうんざりしている人や、バーンアウト(燃え尽き症候群)や一般的なワークライフバランスの不満を抱えている人もいるだろう。

 仕事を辞める余裕があるから、という人もいるかもしれない。2021年の米国の個人貯蓄率は過去最高の33%を記録している。加えて、「どこでも仕事ができる」ようになったことも考えれば、記録的な数の従業員が今年退職していることも理解できるだろう。

 しかし、辞表を書く前に、退職が自分の長期的なキャリア目標を達成するための最善の方法かどうかをよく考えてほしい。筆者はフォーチュン・グローバル50企業の幹部を経て経営幹部のコーチとなった20年以上の経験から、大量の従業員が退職し、組織図が入れ替わっている現在の変化が、あらゆるレベルの従業員にかつてないほどの機会をもたらすことを理解している。

 では、現在の会社に留まることが自分にとってよりよい決断かどうか、どうすれば判断できるだろう。5つのポイントを紹介しよう。