(4)準備ができていない
転職はエキサイティングなことだが、自分の世界が劇的に変わることもある。多くの人にとってキャリア開発に必要なこととはいえ、その準備ができていなければならない。
新しい職務で成功するためには、成長思考と、積極的に学び、人の意見を聞くこと、そして前向きな姿勢が不可欠だ。リモートやハイブリッドの環境で仕事を始める場合は、新しいチームに慣れるために、より積極的にならなければいけないだろう。
変化は疲弊を伴うもので、状況を変える前に、あなたにとって、そしてあなたを頼る家族にとって、いまが適切な時期かどうかを確認する必要がある。
(5)絶好の交渉の機会である
あなたは現在の状況に完全には満足していないかもしれない。
従業員にとっていまは、給与、労働条件、成長の機会、職場の柔軟性、エグゼクティブ教育やコーチングのサポートといった、キャリア開発のための福利厚生などについて合理的に話し合えるかつてない好機だ。この機会に、何が可能で、どんなものが自分の仕事をよりよいものにするかについて、マネジャーとオープンでプロフェッショナルな対話をしよう。
友好的で打ち解けた会話を心がけること。また、自分のパフォーマンスに関するデータを用意すれば、上司があなたを支持しやすくなる。賢明な企業は従業員のリテンション(定着)に力を入れているので、あなたのような優秀な従業員を失うことのリスクとコストを強く意識している。
自分の仕事の状況を評価し、残るべきか去るべきか迷っているなら、以下の問いを考えてみよう。
・自分はいまの仕事にどれだけ満足しているか。公平な給与、意義のある仕事、許容できる労働条件、福利厚生、仕事の安定性、健全な職場文化、継続的な成長の機会など、あらゆることについて考える。
・今後半年から1年の間に、自分の会社でどのような変化(良いものも悪いものも)が起きそうか。その変化は自分のキャリア形成にどのようなメリットをもたらすか。悪い状況でも、適切な条件下では成長の機会となりうることを覚えておこう。
・社内でより充実した仕事に就く可能性を高めるために、自分はどのような行動を取ることができるか。この質問は、マネジャーや信頼できるアドバイザーにも躊躇せず尋ねよう。
いまの仕事に留まるうえで最大限活用できそうな要素がそろっているなら、上司、スポンサー、人事部など、あなたをサポートしてくれる人と話をしよう。自分が会社に何をもたらしているかを強くアピールし、柔軟に対応して会社の目標達成に尽力することを表明する。
人間関係を維持し、私的な情報ネットワークを構築して、業界でのつながりを築くことを怠ってはいけない。組織やマネジャーの目標を理解し、自分が前向きな影響を与えられることには、戦略的にみずから貢献しよう。
会社に留まり、これまで以上の努力をすることが、夢に描いてきた役割や働き方を手に入れる最も効果的な戦略であることは少なくない。
"5 Reasons Not to Quit Your Job (Yet)," HBR.org, October 14, 2021.