(1)スポンサーがいる
メンタリングの価値はよく知られているが、真の価値はスポンサーシップにあることを専門家は知っている。スポンサーとは、あなた自身とあなたの仕事を理解し、あなたという人間を保証してくれる人だ。そして、組織の中で権力や影響力を持ち、昇進や報酬をめぐり、あなたのために働きかけてくれる。
幸運にもいまスポンサーがいるなら、これまで以上に懸命に働き、自分が組織の成功にどれだけコミットしているかをスポンサーに伝えるべきだ。変革期は人の入れ替わりが激しく、チャンスが巡ってきた時に、スポンサーがあなたを推薦してくれる可能性がある。
筆者は人事ディレクターをしていた時、そのような機会に恵まれた。最高人事責任者(CHRO)から会社を辞めると伝えられた時、「(人事部は)来年以降、働きがいのある場所ではない」という以上の説明はなかった(会社は人員削減を進めており、その年の後半に大規模なレイオフが行われた。当然ながら、彼は筆者にそれを話すことはできなかった)。
人事部から法務部に異動することを勧められた時は愕然としたが、それを実行したことで倫理やコンプライアンスの分野で10年のキャリアを積むことができた。筆者にとっては提案を受けた中で最高のキャリア転換の一つであり、経営幹部に昇進する道を開くきっかけとなった。
(2)いまの会社に予期せぬ機会があるかもしれない
主要な従業員が会社を去ることで、組織の入れ替えが起きる。彼らの退社によってあなたが新たな責務を担い、新たな人間関係を築き、経営陣から新鮮な目を向けられることになるかもしれない。
これまで適切な人間関係を築いてきたなら、この機会に自分のスキルを高め、組織に付加価値を与えることができる。最終的には新たな役割、つまりキャリアの大きな横すべりや昇進、あるいは戦略的イニシアチブを率いたり、参加したりする機会を得て、存在感を高めることができるだろう。
パンデミックの影響で多くの企業が戦略目標や取り組みを見直している。ポーカーゲームのように、全員のカードを見て、自分の将来について知識に基づく決断を下せるまで待つことが、最善の方法の場合もある。
(3)目標を達成する
あなたがチームや組織に期待されている以上の価値を与え、難解に思える問題に対して革新的な解決策を導き出し、努力によって傑出した評価を得ているなら、なぜいま会社を辞めるのだろう。
たとえば、筆者のクライアントの一人は製造業界の幹部で、サプライチェーンの困難な問題に対処している。製品不足で顧客の注文に応えることができず、目標達成へのプレッシャーは激しく、顧客との関係は悪く、誰も素晴らしい解決策を持っていなかった。ただし、筆者のクライアントを除いては、だ。
交渉術と、長い時間をかけて築いた顧客からの信頼によって、彼女の顧客維持率は100%、直属の部下の離職率はゼロだ。社内でも周囲を鼓舞するロールモデルとなり、人間関係を構築する方法を共有した。
この数カ月に彼女が高給な仕事のオファーをいくつも断ったのは、次に機会が訪れた時に、より大きく飛躍するための実績を積みたいと考えているからだ。一定期間で実利的な結果と仕事の持続的成長を示す彼女の能力は、次の雇用主から注目されるだろう。
その「ロングゲーム思考」の見返りに、彼女は最近、自分では「ありえない」と思っていた昇進を果たした。