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多くのストレスや不安、あるいは悲しみから気分が落ち込み、エネルギーや活動レベル、気分の状態が連鎖的に低下していく経験をしたことはないだろうか。負のスパイラル、つまり自分が感じるエネルギーが低くなるほど、活動が乏しくなり、鬱状態に陥るサイクルから抜け出すのは容易ではないが、このスパイラルを遮断するための対処法は存在する。あえて生産的な状態にみずからを置くことで、方向転換できる状態をつくるのだ。本稿では、生産的な状態でいることが鬱状態からの回復をどのように助けるかを論じ、具体的な5つの対処法を紹介する。

落ち込んでいる時に一番大事な仕事は自分自身のケア

 2人目の子どもがほしいと思っていた私は、この2年間、何サイクルもの不妊治療を必死に試みては、そのたびに不成功に終わってきた。

「そのストレスと悲しみは、私の気分や心の安定に影響を与えた」というだけでは、到底説明し尽くすことなどできない。深刻な鬱状態に陥らずにいるのは難しく、生理が始まるたびに落ち込んでいた。

 それでも、どうにか人間として機能し、生産的であり続けた。どのようにしたかといえば、本稿で紹介していくように、自分が臨床心理士としてのトレーニングで学んだ心理学の対処法を利用したのだ。

 もしあなたがいま落ち込んでいるなら、一番大事な仕事は、自分自身をケアすることだ。メンタルヘルスのためには、生産性は二の次でよい。

 しかし、気分が落ち込んだ時であっても生産的でいる方法を学ぶことで、鬱からの回復を助けることができるかもしれない。そう聞くとかえってプレッシャーが増すと感じるなら、生産的な状態でいることが鬱からの回復をどのように助けるか、それはなぜかを説明する間、私の話に付き合ってほしい。

 すべての感情には、それぞれ進化を遂げた目的がある。悲しみ、鬱、無感動の感情は、私たちを立ち止まらせ、自分の中に引きこもり、深く考えさせる。これは、自己防衛の特徴だ。

 危険から距離を置き、自分の世界にこもるほうが賢明な場合もあれば、自分が意味を見出していたことに疑問符を突きつけ、無理に同じことを続けるのをやめるほうが賢明な場合もある。

 しかし、鬱状態の時には、この自己防衛的で自分の世界にこもった低エネルギーモードが「オン」のままになり、役に立たなくなる。気分の落ち込みによって、これまでの人生で自分がやってきたことが本当に有意義なのかを問い直す必要性が示唆されるのではなく、すべてが無意味に感じられ始めるのだ。

 感情とは信号システムだ。シグナルを送ることで、自分が安全な状態にあるのか危険な状態にあるのか、あるいは正しい方向に向かっているのか間違った方向に向かっているのかを教えてくれる。しかし長期化すれば、信号としての有効性が失われてしまう。

 鬱状態に陥っている時は、エネルギーや活動レベル、気分の状態が連鎖的に低下していく。自分が感じるエネルギーが低くなるほど、活動は乏しくなり、感情的にも落ち込み、そのサイクルが続くのだ。

 生産的な状態でいることで、その負のスパイラルが遮断され、方向転換が可能になる。どこから始めるべきか、その方法を以下に紹介しよう。