
大退職時代(グレート・レジグネーション)が到来し、転職を真剣に検討し始める人が増えている。キャリアに関するアドバイスがあふれる中、私たちはどの助言に耳を傾けるべきなのか。筆者らが典型的な4つのアドバイスを検証した結果、実際にはほとんど効果がないどころか、キャリアにマイナスの影響をもたらす助言が存在する事実が判明した。
今日、キャリアで成功する方法に関するアドバイスは世にあふれている。新しい(あるいは古い)働き方への移行期である現在は、特にそうだろう。いまからキャリアをスタートしようとしているにせよ、新しい会社や業界に転職すべきかどうか迷っているにせよ、実際にどのアドバイスに従う価値があるか、どうすればわかるのだろうか。
現代のキャリアで成功を収める方法に関する数十年来の研究の末、そのために人々が必要だと考える最も一般的な4つのアドバイスを研究者らは特定した。
そこで筆者らは、それぞれのアドバイスが実際にどれくらい役立つかを理解するために、2006年以降に発表された入手可能なすべての実地調査からメタ分析を行い、4つのアドバイスがさまざまなキャリアの発展にどう結びついたのかを精査した。最終的に175の独立したサンプルを用いて、世界中で多様なキャリアの段階にあり、いろいろな職業に就いている6万3000人以上を対象とした。
この分析から、筆者らは各アドバイスに集団レベルのパターンを発見した。そして、どのアドバイスが最もよい結果を得られる可能性が高く、どのアドバイスにはより慎重に従うほうがよいかを判断することができた。
筆者らは、4つのアドバイスがそれぞれ次の項目とどう関連しているかを分析した。
・キャリアの客観的な成功(例:給料、地位、昇進)
・キャリアの主観的な成功(例:キャリアの満足感、ウェルビーイング)
・従業員の仕事の結果(例:職務満足度、組織コミットメント、離職意思、組織からの離脱、職務遂行能力)
以下に、最も一般的な4つのアドバイスを紹介する。また、それらのアドバイスが今日の仕事の成功にどの程度役立つかを、データに基づき解説する。