●共感を育む

 相手の経験や見方がどのようなものであるかを考えるようにする。人生の経験とは、誰しも何らかの形で異なるため、相手とは異なる視点を持つ可能性に寛容になることだ。

 相手を理解しようとする時に、どのような障害に直面する可能性があるかを考えてみる。たとえば、自分の相手に対する思い込み、自分が相手に求めていること、自分自身の反応などだ。

 一方で、同僚はパンデミックに関して、あなたが抱えているのと同じような困難を、何も言わずに乗り越えようとしているところかもしれない。

 相手を理解するのに苦労した時は、そうした表には現れていない理由についても考えてみる。自分自身と相手を思いやる気持ちを育むことで、対立や意見の相違をもっと上手に乗り越える助けになるはずだ。

 ●関心を示し続ける

 私たちの文化では、自分の考えを主張したり、必要な議題を全面に押し出したりすることが奨励されているが、コミュニケーションというものは、相手の精神的・感情的な状態に合わせることから始めると、より効果的になることが多い。

 相手から先に、自身の考えや議題について話してもらうのもよいだろう。まずは心を開き、関心を持って相手の話を聞くことで、相手とのつながりが深まり、今度は相手もあなたの話に耳を傾けてくれるようになる。

 少なくとも数分の間は、自分の心配事や議題は後回しにして、デジタル機器に気を取られたりせず、相手との対話の流れに身を任せるようにしよう。

 同僚と再会したばかりで、こうしたことを実践するのは難しいと感じた場合には、まず家族や信頼できる友人と話す時に、これらのステップを実践してみる。日常から取り組むことで、これらのスキルに対する「マッスルメモリー」が鍛えられ、職場で感情的になった時に実践できる可能性がはるかに高まるはずだ。

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 もちろん、会話の相手や会議に参加するメンバーもこれらのスキルに取り組んでいれば理想的ではある。しかし、取り組み始めた時にはあなた一人だったとしても、同僚はあなた関わり方が変化したことに気づき、評価するようになる。

 以前に比べて、自分の話に耳を傾けてくれたり、向き合ってくれたりすることが増えていると相手が感じれば、ポジティブな効果が生まれ、あなたに対しても、以前よりオープンに反応してくれるようになるかもしれない。

 完璧にできるかどうか、心配する必要はない。完璧に対応できる人などいないし、私たちは誰しも相手のことを誤解したり、うまく調和できなかったりするものだ。

 しかし、本稿で紹介したスキルを身につければ、一時的に失敗してもやり直し、相手とのつながりを再び取り戻すことができる。これらのスキルを少しでも向上させることで、仕事上の人間関係に重要でポジティブな影響を与えることができるのだ。


"Getting Back to the Basics of Human Connection," HBR.org, October 29, 2021.