パーパス

 人生や仕事のパーパスを定めるのは大変な作業に思えるかもしれないが、そうとは限らない。パーパスの核心は「誰に奉仕し、誰に力を与えたいのか」「どのような方法でそれを実行するのか」の2点に集約できる。

 長い一日を終えた時、プロジェクトのゴールはまだ遠いものの、活力に満ち、自分がその日になし得たことを誇らしく思える──最後にそのような経験をした日を思い出すことが、自分を突き動かすパーパスを明確にする近道かもしれない。

 そのような思いが湧き上がるのは、目標そのものがあなたを前進させ、エネルギーを消耗させるのではなく、むしろエネルギーを与えてくれる時だ。そんな瞬間には、自身の価値観とミッションが完全に一致している。これがフロー状態である。

 次のように自問してみよう。

・どのような目標が、あなたの関心をかき立て、行動を起こすきっかけとなるか。
・自分のコアバリュー(中核的価値)のために、時間とお金と影響力をどのように使いたいか。
・あなたが理想とするレガシーは、どのような行動、専門知識、貢献によって形成されるか。

 注目すべきは、これらの質問があなたの核を成すスキルセットや経験、コンピテンシーを問うものではない点だ。その理由は、価値観に合った仕事をすることで必要なスキルセットが自然に身につくからであり、その逆ではないためだ。

 私の知る人の中で最も悲惨なのは、家族や社会、あるいは社会的圧力が立派で理想的だと見なすもののために、キャリアを設計している人々だ。そして、最も幸福度が高く、最も成功しているのは、自分が必要とされていると感じることを、自分の理想のペースと規模で誠実に実行している人々である。

人材

 個人の成長の可能性やキャリアの方向性を示す指標として見落とされがちなのが、誰と一緒に働くかという点だ。直属のチームの顔ぶれを見れば、今後あなたが身につけるであろう専門知識、受け継ぐリーダーシップ、経験する成長の軌跡がわかる。

 単に楽しいだけでなく、自分もこうなりたいと思う人、自分の価値観に合った形であなたの最高の面を引き出してくれる人が集まるチームを探そう。そのために、次のように自問してみよう。

・あなたが理想とする向上心、バランス、専門知識、優先順位を体現しているのは、どのような集団か。
・あなたが伸ばしたいと思っているスキルや評価を有するリーダー(社内、地域、世界全体で)は誰か。
・説明責任と機会を生み出すために、どのようなメンターとスポンサーが必要か。

 自分を鼓舞し、高め、チャンスを得るために扉を開いてくれるような仲間と過ごす時間を増やすために、何ができるだろうか。競争的なチームと協調的なチームのどちらに、モチベーションをかき立てられるか考えてみよう。現在のチームがみずからの理想と一致しない場合は、より大きな組織、地域社会、またはオンラインコミュニティでメンターや協力者を探すべきだ。

ペース

 自分にとって好ましいペースは目標や人生のその時々の状況によって決まる。そのため、理想的な職務も時間の経過とともに変わることがある。不満が生じるのは、仕事とプライベートの要求が一致しない時だ。そのような時は適切なバランスを取るために、次のように自問しよう。

・キャリアの現在の局面において、どのくらいの頻度でスキルと専門知識のレベルアップを求められたいと感じているか。
・あなたにとって理想的なキャリアアップのスケジュールとは何か。いまのあなたのキャリアステージは、短距離走のステージか、マラソンのステージか。 
・変化を起こして貢献する際、どのような役割を担いたいか。先頭に立ってリードしたいか、サポート役に回りたいか。

 自分の現在の環境が、これらの答えと一致しているか考えてみよう。あなたはスタートアップの設立初期のような冒険やプレッシャーと、伝統企業の安定した日常のどちらを好むだろうか。

 燃え尽き症候群に陥るか、充実感を覚えるかの違いを生むのは通常、仕事の内容ではなく、努力の背後にある意義と、期待されるパフォーマンスとの一致であるという点を覚えておこう。