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出社勤務が徐々に再開し、ハイブリッドワークの環境が整う一方、いかにして従業員同士の結び付きを維持し、エンゲージメントを高めればよいかに、頭を悩ませるリーダーは少なくない。そこでかつてのオフサイト研修さながらに、従業員が集まる出社勤務日を「オンサイト研修」の場として活用することを筆者は提案する。従業員にとっても会社にとっても、出社勤務の体験を価値あるものにするには、オフィスで過ごす時間を意図的に設計することが欠かせない。本稿では、ハイブリッド環境でチームをまとめる新たな方法を追求するために、出社勤務の体験を充実させる3つの要素を紹介する。


 オフサイト研修を覚えているだろうか。1年に1度、あるいは四半期に1度かもしれないが、メンバー全員が集まり、戦略について深く掘り下げたり、フィールドアスレチックでチームビルディングに励んだり、専門能力の開発研修に参加したりすることで、同僚や顧客との交流を深めるイベントだ。

 以前であれば、そのように集まるのは待ち遠しいことだったかもしれない。しかし、いまは多くの従業員がそもそも出社したくないと思っているので、オフサイト研修などもってのほかだと考えている。

 あなたの仕事のゴールが従業員を職場に参集させることならば、それが時々であれ、いつもであれ、いかなる時であれ、従業員が絶対に参加したいと思うような1日を設計する必要がある。少なくとも、従業員がオフィスで過ごす体験を意図的に計画することが極めて重要だ。つまり、会社に来たくなるようなインセンティブを用意するだけでなく、従業員にとっても会社にとっても、そこで過ごすだけの価値がある時間にしなくてはならない。

 筆者はコロナ禍の初期から、CEOやHR部門のシニアリーダーが大混乱する時代にあっても組織の舵取りを行い、成功するための手助けをしてきた。出社勤務が徐々に再開しているいま、「オンサイト」(出社勤務日)を意図的に設計し、ハイブリッドワーク環境でもインパクトのある新たな方法でチームをまとめる支援をしてほしいと依頼されるようになった。

 投資銀行EAマーケッツのマネージングパートナーを務めるルーベン・ダニエルズは、月例の対面イベント「スーパーデイズ」の設計支援を筆者に依頼した時、そのプロセスを公表することに同意してくれた。このケーススタディを詳しく紹介することは、あらゆる業界や規模の企業リーダーが「リターン・オン・エンゲージメント」(ROE)に留意しつつ、対面体験を設計する際、リソースを最大限に活用する助けになるだろう。

 オンサイトは、従業員エンゲージメントに投資できる貴重な手段の一つになる。この投資は企業の最終利益にポジティブな影響を与える可能性があるが、オンサイトの設計方法はそれぞれ異なるはずだ。そこで、オンサイトを成功させるための3つの要素を以下に紹介しよう。