●専門能力の開発を個人の問題としてとらえる
従業員は仕事で成長したいと思っている。能力を高め、深く考え、幅広い視野を持ちたいと考えているのだ。彼らは昇進するための道筋があるかどうか知りたいと思い、リモートワークによって出世の階段を上る機会が限られてしまうのではないかと多くの人が恐れている。
専門能力の開発は、「大退職時代」(グレート・レジグネーション)の流れを食い止めるためにも、極めて重要だ。2000人以上の従業員を対象にした最近の調査では、専門能力の開発支援を受けられることが「重要」または「非常に重要」とした回答者は92%に上った。それだけではない。専門能力を開発する機会があった従業員は、その機会がなかった従業員に比べて、エンゲージメントが15%高く、定着率も34%高いという結果が得られている。
EAマーケッツでは、スーパーデイズのプログラムに専門能力の開発を組み込むことにした。成長は後から補うものではなく、従業員が自分の時間だけでできるようなものでもないからだ。
具体的には、ワーキングセッションの時間を利用し、従業員がさまざまなアイデアをブレインストーミングできる機会を設けた。そのテーマには、ランチタイムを利用して勉強会やセミナーを開く「ランチ・アンド・ラーン」や、キャリアパスに関するシニアリーダーとの面談、外部講演者の招聘、読書クラブの開催が含まれていた。
あなたがオンサイトを設計するにあたっては、現時点でどのような専門能力の開発研修が行われ、どんな人がそれに参加しているかを分析することから始めるとよい。従業員がますます仕事に忙殺され、ただでさえ長い1日に新たに何か付け加えたくはないと思っていれば、研修への参加率が下がる可能性は高いだろう。あなたの会社で、オンサイトによる専門能力の開発がさほど必要とされなかったのはそのためだ。
研修を再開する前に、毎週もしくは毎月、誰もが仕事の手を止めて、個人としての成長や専門能力を開発する機会に参加できるようにすることを検討しよう。それは何らかの活動を一緒に行うことでも、自分の好きなクラスを1時間受講することでもかまわない。重要なのは、誰もが常に学んでいることだ。