●会社の価値観を念頭に置いて設計する
リーダーがやることはすべて、個人としてはもちろん、事業との関係においても、価値観を支えることを究極の目標にしなくてはならない。オンサイトも例外ではない。価値観を単なる飾り物としてではなく、現場で実践することが重要になる。そしてオンサイトは、それを実践する素晴らしい機会だ。
コロナ禍の間、EAマーケッツではオフィスを廃止し、従業員が場所を問わずに働ける「ワーク・フロム・エニウェア」(WFA)制度を採用した。とはいえ、ダニエルズは、従業員が仕事を完遂し、創造的になり、相互につながりを持つためには、同僚と顔を合わせることが依然として必要であり、従業員もそれを求めていることを理解していた。レンタルオフィスで開かれる月例イベント「スーパーデイズ」は、この一般的なジレンマに対して、EAマーケッツが見つけた答えでもある。
イベントをどのように設計するのがよいか話し合った際、ダニエルズは「EAマーケッツは何を大事にしているか」について話してくれた。それを聞いて筆者は、EAマーケッツの価値観を中心に据えたイベントを企画できると確信した。
具体的には、ダニエルは「健康」「豊かさ」「成長」の3つを、会社が新しい働き方に移行する中で注目すべき最重要テーマとして挙げた。そこで私たちは、スーパーデイズのコンテンツを、この3つのカテゴリーに分類してみることにした。
・健康には、柔軟なオフィスの選択、通勤の制約、チームビルディング、そして従業員のウェルネスに対する配慮が含まれる。
・豊かさには、部門横断型のミーティング、短い時間で繰り返されるワークセッション、そしてチームでの昼食会やイベントが含まれる。
・成長とは、個人として進化を遂げ、プロフェッショナルとしての専門能力を開発する時間を指す。
このように価値観主導の目標を事前に特定することで、私たちは会社の大局的なミッションと一致するようにスーパーデイズを設計することができた。
あなたが出社勤務日を設計する時には、「分かれ道」試験を行うのがよいだろう。ある決断を下さなくてはいけない時、たとえば「出社時間は厳密に午前8時とすべきか、多少の誤差は本人に任せるべきか」「昼食は全員一緒に取るべきか」「勤務時間後であってもハッピーアワーには会社に残るべきか」といった問いに対して、どちらかを選ばなくてならない時は価値観に沿った選択をしよう。
決断にあたり価値観が助けにならない時は、別の見方をする必要があるかもしれない。価値観が何らかの手がかりになるのであれば、常に価値観を前面に置き、決断を下す必要がある時はそれを中心に考える。