「売り逃し」を65%削減した製造小売企業
AI POWERED マネジメントコックピットは、名前の通り、KPIの状況やシナリオ、シミュレーションなどを「コックピット」(一つの画面)で俯瞰できる直感的なUI(ユーザーインターフェース)を備えています。画面は必要な項目やデザインなどに応じて自由にカスタマイズ可能です。
また、分析するためのデータを収集するには、通常、社内のさまざまなシステムと連携させる必要がありますが、そのためには多額の資金と時間を要するのが一般的です。そこで、経営判断に必要な最低限のデータだけを抽出し、それをAIに分析させてコックピットに表示するという簡易的な仕組みの導入からスタートすることもできます。ひとまず利用できる環境を整え、後からシステムを連携させるという流れです。
数年がかりでシステム再構築を行うと、その間にも経営環境は目まぐるしく変化するので、従来型の経営管理手法では対応がますます困難になってしまいます。もちろん、いずれは社内のあらゆるシステムと連携させて、全社の重要KPIがすべてコックピット上で管理できる環境を整えるのが望ましいといえます。
AI POWERED マネジメントコックピットを導入して、データに基づく未来予測型の経営判断を実現している企業の事例を紹介しましょう。
製造小売型の眼鏡専門店を展開するJINSは、需要予測に課題をお持ちでした。小ロット・多品種の商品を展開しているため、もともと需要予測が難しく、さらに眼鏡という製品の特性上、耐久年数が長く買い替え需要が予測しづらかったのです。このため、商品を発注しても追加生産が間に合わずに欠品したり、逆に見込み発注で過剰在庫が発生したりするといった課題がありました。
そこで同社は、需給の可視化とPDCAサイクルの高度化を目的にAI POWERED マネジメントコックピットを導入しました。これにより、実績データ集計やKPI表示が自動化されただけでなく、AIが将来の在庫・販売状況を予測し、問題が顕在化する前にアラートを発すると同時に、追加発注や入荷前倒しなどのアクションを提案する仕組みに変わりました。
たとえば、過剰在庫が発生しそうな場合には、値引きやプロモーションといった施策を打つことによって、KPIがどのように変化するのかもシミュレーションできるようになり、AIによる科学的な予測と人の意思を融合させた未来予測型の経営判断が実現しました。
その結果、欠品による販売機会ロスを約65%削減(粗利額ベース、2019年比)、商品の廃棄ロスは約10%削減(除却・評価損を含む、同)という成果を創出できました。
基幹系システムの刷新やデータ連携基盤の整備は重要ですが、コストと時間がかかります。まずは、AI POWERED マネジメントコックピットのような適切なAIソリューションを活用して、成果をいち早く刈り取ることも現実的なアプローチといえます。そして、実際に業務で活用しながらROI(投資対効果)を上げ、長期の取り組みとしてバックエンドのシステムを整備していくこともできます。
なお、AI POWERED マネジメントコックピットによる状況分析や、それに基づく意思決定は、すべて履歴として記録されます。経営判断の“生きた教材”として活用することで、マネジメントの高度化を実現することも可能です。
●参考資料
AI POWERED マネジメントコックピットの動画
https://youtu.be/zVuDxOeqdSI
アクセンチュア AI POWEREDサービス
https://www.accenture.com/jp-ja/services/applied-intelligence/ai-business-transformation
アクセンチュア 支援事例(JINS)
https://www.accenture.com/jp-ja/case-studies/applied-intelligence/jins