4つの柱
●ITの強化
多くの企業にとってデジタルトランスフォーメーションの第一歩は、自社のITインフラのアップグレードに加えて、モバイルインフラやデータの保管、クラウドのアップグレードから始まる。
基本的に、これは「デジタル・イニシアチブ」に割り当てられた予算を活用し、社内のITとコミュニケーションプラットフォームを最新式に移行させるチャンスだ。ITの強化が完了すれば最新ツールを利用できるようになり、それが従業員の効率性向上やITメンテナンスコストの削減、従業員満足度の向上につながる。
この部分については、すでに取り組みを進めている企業も一部にある。しかし、デジタルインフラのアップグレード方法をめぐる壁にぶつかっている企業も多い。
デジタルトランスフォーメーション・ジャーニーの第一段階となる場合も多いこの「旅」には、ITアーキテクトと時間が必要となるが、メンテナンスコストを抑えつつ、より効果的なツールによって顧客サービスを提供できる最新のプラットフォームを整えることが可能になる。ただし、より成熟したデジタル企業では、人工知能(AI)のような高度なツールを使用するためにさらなる投資が必要となる。
通常、この柱を主導する役割はCIO(最高情報責任者)またはCTO(最高技術責任者)が担うべきだ。また、成功の指標となるKPIには、新たなツールへのアクセス、メンテナンスコストの削減、従業員満足度の向上、ビジネスパフォーマンスの改善が用いられる。
これを裏付けるように、IDCの最近の研究によって、新型コロナウイルス感染症のパンデミック以前から、デジタルトランスフォーメーションの一環としてERPのクラウド移行に着手していた組織は、そうでない組織よりもはるかに業績がよいことが示されている。