バーチャルワークは従業員のウェルビーイングにいかなる影響を与えるか

 これらの疑問の答えを明らかにするため、筆者らは何千人ものマイクロソフト従業員の数カ月にわたるコラボレーション活動と調査データを研究した(大半の従業員はパンデミックの影響で在宅勤務を行っていた)。

 その結果、過剰なコラボレーション、中断されずに集中できる時間の不足、休暇を取得しないことが、今回調査したワークライフバランス悪化の主な要因であることがわかった。

 ●コラボレーションが増えるとウェルビーイングは低下する

 2020年4月に実施した業務活動とセンチメントデータに基づく最初の分析で、筆者らの仮説が裏付けられた。会議への出席、メール、チャットなど、コラボレーションに最も多く時間を費やしている従業員は、コラボレーションの時間が少ない同僚に比べて、ワークライフバランスの満足度が低かった。

 ワークライフバランスに満足している従業員は、センチメントデータで中間的あるいは否定的な感情を示した従業員に比べ、会議の出席が25%少なく、コラボレーションに費やす時間が週に平均6時間少ない。さらに、ワークライフバランスに満足している従業員は概してメール送信数が29%少なく、勤務時間外のメールが36%少ない。

 ●フォーカス時間を多く確保するほどウェルビーイングが改善する

 ワークライフバランスに満足している従業員は、満足していない従業員に比べて、仕事に集中できるフォーカス時間を設ける回数は1.3倍であった。また、2時間のフォーカス時間を設ける回数も1.3倍だった。

 ●休暇が増えるとウェルビーイングが高まる

 次に、休暇取得のパターンを調べた。パンデミックの初期段階では、マイクロソフトの従業員の多くは外出制限措置に従って旅行を避けて自宅で過ごし、休暇を取得しなくなった。実際、米国の従業員が取得した平均休暇は83%も減少した。

 この減少は波及効果を及ぼした。休暇を取得した日数、あるいは取得しなかった日数が、従業員のワークライフバランスに対する認識に影響を与えることが数字で示されたのだ。

 筆者らの調査によると、2020年3~4月に充電のための休暇を取得した米国の従業員は、その間に休暇を取らなかった従業員に比べて、5月のワークライフバランスに対する評価が平均して8ポイント高かった。

 では、もしウェルビーイングの秘訣が、会議を少なくし、フォーカス時間を増やし、充電するための休暇を取ることにもあるとしたら、具体的にはどうすればよいのか。下記は、マイクロソフトのさまざまなチームが導入している4つの方法だ。