(1)パートナーの力を借りる
筆者は数年前、自分に対する講演依頼を増やすために何をすべきかを考えた。自分に必要なのは、講演の前に何度か練習する機会を設けることと、講演内容に関してより質の高い建設的批判を受けることだと考えた。
しかし、筆者はそれを実践できずにいた。その原因は、恐怖心を抱いたり、ともすれば怠惰だったりしたのかもしれない。そこで、自分の行動により責任を持つための仕組みづくりが必要だと考えた。
筆者が置かれた状況を理解するうえで、有用な研究結果がある。タレント開発協会(ATD)の研究によると、目標を達成できるかどうかは、あなたがどれだけ具体的な目標を設定し、自分の行動にどの程度責任を持てているかで決まる。
ある目標を追求すると決めた場合、その成功確率は10%~25%だ。しかし、自分にとって大切な人に目標を伝えることで、その確率を65%まで引き上げることができる。さらに、その人と定期的に会い、進捗状況を報告するようにすれば、成功確率は95%に跳ね上がる。
にわかには信じられないかもしれない。そこで筆者は、この研究結果を検証することにした。ある友人を雇って筆者の「ボス」になってもらい、自分が達成したい重要な課題に関して、その結果の説明責任を負うことにしたのだ。
ばかばかしいことだと思えるかもしれない。しかし、ボスを務めた友人が自分を解雇する権限がないことはわかっていたが、筆者はこれを実践することで大きな成果を上げた。自分の友人を失望させたくなかったからだ。
筆者は講演前の数週間、この友人を相手にスピーチの練習をするようになった。彼は、講演のわかりにくい部分や退屈な部分を修正するためにアドバイスをしてくれた。講演当日の朝には、ビデオ会議システムを使って最終リハーサルを行った。
このように練習量を増やした結果、講演者として推薦してもらえる機会が多くなり、講演依頼が続々と舞い込んでくるようになった。