(2)目標を公表する
自分のアカウンタビリティを果たすボス役を雇うことが、常に必要というわけではない。しかし、自分の目標を忘れないようにする仕組みは不可欠だ。
ある研究によると、新年の誓いを達成できている人はたいてい、「刺激制御」と呼ばれる手法を実践している。自分の目標を再確認する機会を頻繁に設けるのだ。
筆者の場合、自分に課した大きな目標について、できるだけ多くの人に話すようにしている。たとえば、筆者は昨年、懸垂ができるようになりたいという目標を立てた。それも1回だけでなく、20回連続でできるようになりたいと思ったのだ。この目標に向けて努力を続けるためには、多くの刺激制御が必要とされた。
そこで、この目標を別のもう一つの大きな目標と組み合わせることにした。ビッグ・ブラザーズ・ビッグ・シスターズという非営利団体のために、2万ドルの募金を集めるという目標だ。筆者は、誰かが5ドル募金してくれるたびに懸垂を1回行うという公約を立てた。募金額に応じた回数の懸垂を行い、その様子をソーシャルメディアに公開することにしたのだ。
ソーシャルメディアに投稿することで、募金が増えただけではない。友人や知人と会った時、筆者の取り組みがしばしば話題に上るようになった。そうして自分の行動に重大なアカウンタビリティを負うことになり、意志力だけに頼る場合とは比較にならないほど熱心に取り組むことができた。最終的な募金額は2万6000ドルを超えた。
コミュニティの力は侮れない。たとえば筆者は以前、新たなスキルを習得するために新しいマーケティングの本を読みたいと思ったことがある。しかし、時間を確保できず最後まで読み通せないのではないか、せっかく本を読んでもそのアイデアを実行に移せないのではないか、という不安を抱えていた。
そこで、筆者は小さな読書サークルを立ち上げ、数人の意欲的な人たちと一緒にその本を読むことにした。研究によると、目標の達成を目指すグループをつくり、ほかの人たちとともに努力すれば、その取り組みに対する自分の関心が強まり、レジリエンスも大きく高まるので、成功を収める確率も大幅に上昇するという。