●職務記述書を最新の状態に更新する
パンデミックの間に、もともとの職務記述書には記載がない仕事を期待されるようになった従業員も少なくない。たとえば、退職したチームメンバーの仕事を引き継いだり、たび重なる事業の混乱に対応したり、まったく新しいビジネスモデルに方向転換したりすることが、自分の責務に加わったかもしれない。
あなたが本来の職務以外の仕事も引き受けていることを上司が気づいていない場合、それが成績不振と見なされた一因になっている可能性もある。
筆者の場合、ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン責任者としての責務に加えて、米国のブランドキャンペーンを率いることをCEOから求められていた。ところが、職務の抜本的な変更があったにもかかわらず、筆者の職務記述書はまったく変更されていなかったのである。
自身のパフォーマンスが問題になった時には、職務記述書が更新され、あなたが引き受けた追加の責務がそこに記述されているかどうかを確認しよう。これは、目標や期待が変更されたことについて、上司と理解を一致させるために不可欠だ。
上司が職務記述書を更新しようとしない場合は、自分自身で更新し、上司とHRビジネスパートナーにそのコピーを送付するのがよい。それをすることで、あなたがこれまで何に取り組んできて、パンデミックの過程でそれがどのように変更されたかを、関係者全員が明確に把握できるはずだ。
●選択肢を理解する
成績不振者のレッテルを貼られた場合、すべての選択肢を理解し、検討することも必要だ。あなたのパフォーマンスに対する上司の認識を変えることに、成功する場合もあるだろう。しかし、それができなければPIPの対象になる可能性が高い。
PIPでは、上司があなたの成績不振の根本原因と、その改善に向けた明確な期待を定義する。一般的には30~90日間続き、毎週、進捗状況を確認され、HR部門も介入する。PIPを首尾よく完了できれば、現在の職務に留まるか、別のチームに移る選択肢も出てくるかもしれない。しかし、失敗すれば退職を求められるだろう。
「自分自身にこう問いかけてみてください。あなたが仕事の期待に応えていないと考え、その能力を常々疑問視している上司のもとで、今後も働きたいだろうか、と。PIPは苦戦を強いられることがあります。あなたのことを仕事のできない部下だと思っている上司との力関係が絡む場合は、特にそうです」と、LCWのマネージングプリンシパルであるチャック・アダムズは言う。
「自分のパフォーマンスを上司に納得させることにエネルギーを費やすうちに、疲れ果て、消耗し、精神的・身体的健康を損なうことがあります。そのエネルギーは、あなたを正しく見て、価値を認め、耳を傾け、能力を評価してくれる場所で働く、新たな機会を探すために使うこともできるのです」
退職を決意したならば、辞表を提出する前に上司やHRビジネスパートナーと話し合い、解雇手当を要求することをアダムズは勧める。状況や在職期間によっては、それ以上の交渉ができるかもしれない。たとえば、医療保険の保障期間延長を求めることもできる。あるいは再就職斡旋サービスを受けて、次の機会を見つける手助けをしてくれるキャリアコーチを探してもらうこともできるだろう。
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成績不振者という不当なレッテルで、自己価値を決め付けてはいけない。大退職時代(グレート・レジグネーション)に、あなたは人生の新しい章に踏み出す機会を得たのかもしれない。大きなチャンスがあなたを待っている。一人の上司の評価で、あなたのキャリアパスや、あなたが次にやるべきことが決まるような事態は避けたい。
"When Your Boss Labels You a Poor Performer - But You're Not," HBR.org, February 25, 2022.