企業独自のニューロダイバーシティ人材採用プログラム
SAP、マイクロソフト、アーンスト・アンド・ヤング(EY)、JPモルガン・チェース、フォード・モーターをはじめ、多くの大企業が「ニューロダイバーシティ@ワーク・ラウンドテーブル」に参加している。各企業のリーダーが集まり、ニューロダイバーシティ人材の採用プログラムについて検討するグループだ。
マイクロソフトが2015年に開始したニューロダイバーシティ採用プログラムは、企業が実施した初期の取り組みの一つである。
ニューロダイバースな資質を持つ人が求人に応募したい場合は、専用メールアドレスに履歴書を送る。その後、ワシントン州レドモンドにあるマイクロソフト本社に招かれ、4日間にわたりスキル評価を受ける。応募者はそこで、従来とは異なる形式で面接を受けて、採用担当マネジャーに自分の能力をアピールする。
マイクロソフトでインクルーシブ採用・アクセシビリティ担当ディレクターを務めるニール・バーネットによれば、採用が決まった応募者には、シアトルを本拠に障害を持つ労働者の支援を専門とする非営利団体ザ・ハウ・スキルズから派遣されたジョブコーチ(職場適応援助者)がつく。
ジョブコーチは、従業員とチームマネジャーの両方と連絡を取り合う。またオプションとして、マネジャーとチームメンバーは、自閉症をはじめとするニューロダイバースな資質に関して研修を受けることができる。
マイクロソフトは、このプログラムを通じて採用された人に対して、さまざまな障害を抱えるメンバーが参加する自社の従業員リソースグループ(ERG)を紹介するとともに、社内のスタッフをメンターとして割り当てる。メンターは、自閉症を抱える家族や友人がいる従業員がボランティアで担当することが多い。
現在、ラウンドテーブルに参加している約40社は、それぞれがマイクロソフトと似たようなニューロダイバーシティ採用プロトコルを用意している。ラウンドテーブルでは、参加企業を随時募集しており、特にテクノロジー企業の参加を呼びかけている。たとえば過去2年間で、VMウエアとセールスフォース・ドットコムがイニシアティブをスタートさせた。
また、リー・コンテナやスタンレー・ブラック・アンド・デッカーのように、ラウンドテーブルには加わらず、構造化されたニューロダイバーシティ採用イニシアティブを展開する大企業もある。
数字で見ると、ラウンドテーブルの参加企業が採用したニューロダイバース人材は、まだそこまで多くはない。リーダーの一人であるバーネットによれば、各企業の採用者を合計して1000ポジション前後だという。それでも採用ペースは加速していると、バーネットは強調する。