目指すべきこと

 ここまでの知見を活かし、企業がすべての従業員により有益な結果をもたらすうえで、極めて有効な方法がある。

 ●男女平等の推進

 第1に、女性の支援と登用の推進は、成果は上がっているが道のりはまだ長い。現在、経営幹部の62%は白人男性で、パンデミックで男女格差が世界的に拡大し、その解消には135.6年かかると見られている。

 男女平等の取り組みは、キャリアの早い段階から始める必要がある。マッキンゼーによれば、女性はマネジャーになる最初の段階で「壊れたはしご」に直面している。男性100人がマネジャーに昇進するのに対して、女性は86人しか昇進しておらず、より高い地位に昇進する女性はそれよりもはるかに少ない。

 パンデミックによって女性の労働環境は耐え難いものになり、「パイプライン問題」が悪化した。子どもの自宅学習を行い、他の扶養家族の世話をし、増大する家庭内の責務を果たしながら、在宅勤務を行う女性が何百万人もいる。

 長期的な男女平等の実現に向けて、組織が取るべき最初のステップは、働き方の柔軟性と在宅勤務の制度について、女性が直面する現実を実際に反映し、支援するものにすることだ。また、これらの制度が昇進の妨げにならないようにして、従業員が利用できる保育の選択肢の質も評価すべきだ。

 これからオフィスに復帰するうえで、男女平等を推進するためのアイデアはこちらにも書かれている。

 ●思いやりのあるリーダーシップを身につける

 第2に、女性のほうが生まれつき、思いやりのあるリーダーシップが備わっているかもしれないが、思いやりは学習できることもわかっている。より賢明で、思いやりのあるリーダーになりたいと願う人なら誰でも、古いリーダー論をアンラーニング(学びほぐし)し、より人間らしくある方法をリラーニング(学び直し)することができる。

 まずは、日々のリーダーシップの中により多くの配慮と優しさを取り入れることから始めよう。「『本当のところ』調子はどう」と尋ねるような簡単な取り組みでかまわない。また、思考回路を変えることができるマインドトレーニングのテクニックもあり、思いやりのある態度があなたの生き方やリーダーシップのデフォルトになる。

 ●意識的なピアラーニング

 第3に、企業は男女のピアコーチングやアドバイザリーのグループをつくり、困難なことに賢く、思いやりをもって対処する方法について、男女が互いに学び合えるようにすることができる。

 このような半構造化され、意識的に設けられた成長の取り組みは、さまざまな背景を持つリーダーが互いに学ぶうえで役立つことが、筆者らの研究で明らかになった。そこでの意見交換は、自分たちの強みを認識し、活用し、そこから学ぶことで、より賢明で思いやりのある包摂的な文化を創造する素地をつくることにつながる。

 仕事でもそれ以外でも、賢明さと思いやりがますます必要とされている。そして、女性リーダーがそれらの貴重な資質を提供する中心的な存在であることは明らかだ。

 残念ながら、筆者らの調査対象者に、理想のリーダーシップスタイルに賢明さと思いやりをどれほど考慮するか尋ねたところ、男性リーダーは賢明さをより求めるが、思いやりはそれほど求めていなかった。そして、おそらく驚きはないだろうが、女性リーダーは賢明さと思いやりの両方をより求めると答えた。

 現在と未来の女性リーダーを支援し、育成するために、できる限りのことを実行しよう。私たちは皆、彼女たちを必要としているのだから。


"When Women Leaders Leave, the Losses Multiply," HBR.org, March 8, 2022.