リスクを認識する
二重の不利益のリスクは、フィックスト・ハイブリッドのほうが明らかに深刻だ。フルタイムでリモートワークをしている女性は、同僚と対面して時間を過ごすことが非常に少ないか、まったくない。
このようなリスクは、フレキシブル・ハイブリッドのほうが深刻になりにくい。ネットワークを構築し、メンターを持つ機会やコミットメントを目に見える形で示す方法を増やして、オフィスにいる時に発言する障壁を低くすることで、リモートで働くことの難しさが少なくとも部分的には解消される可能性がある。
もちろん、自分のキャリア目標の達成や将来性に潜在的なリスクを抱えていることを理解していても、自分自身の生き方にとってリモートワークが非常に魅力的な選択肢であると考える女性もいるだろう。また、みずからが直面している二重の不利益に気づいていない人や、自分との関連性や危険性を軽視している人もいるかもしれない。いずれにせよ、これらの不利益は依然として存在する。
では、リモートワークを選択する女性が、キャリアや出世に対する潜在的なリスクを最小限に抑えるには、どうすればよいのか。
責任を共有する
幸いなことに、女性がキャリアを築くためのよいアドバイスや、リモートワークで成功を収める方法に関する知見は豊富にある。
ハイブリッド環境では二重の不利益を被ることになるため、特にリモートワーク中の女性は潜在的なリスクの存在を意識し、みずから積極的に対処しなければならない。
たとえば、自分が必要とするメンタリングなどのリソースを提供してもらうために、コミットメントを示したり、発言を聞いてもらう機会を見つけたりすることで目立つ努力をするなど、自分自身で「一歩前に進んで機会をつかむ」必要がある。
同時に、リモートワークによって二重の不利益を被る可能性がある女性ばかりに、負担がかからないようにすることも重要だ。
女性が直面するリスクを軽減するために、オフィスで働く同僚も同じように、リモートで働く人たちにリソースを提供し、彼女たちが目立てるような機会をつくるなど「一歩下がって機会を与える」責任を負っている。
マネジャーも重要な役割を担っている。リソースや目立ちやすさの不平等を認識し、その偏りの解消に全力を挙げることで、リモートで働く人とオフィスで働く人との「バランスを保ち、維持する」のだ。
最後に、経営層のレベルでもやるべきことがある。経営幹部は、たとえばフレキシブルにするかフィックストにするかを選ぶように、どのようなハイブリッドの勤務形態を採用するかを承認するだけでなく、それが長期的に女性にとって(あるいは誰にとっても)意図しない悪影響を及ぼす可能性があるかどうかを、極めて慎重に検討する必要がある。
そのような悪影響を避けるために、経営幹部は対面に依存しない年次評価基準や、個人の人脈に依存しない正式なメンタリングプログラムなど、公平な機会を与えるのに役立つポリシーや慣行を構築し、実施すべきだ。
そしてもちろん、ハイブリッドワークのような重要かつ影響が広範に及ぶ取り組みを実行する際は、将来的に、その計画を再考する正式な時間を設け、それが関係者全員にどれだけ役立っているかを徹底的に検証し、必要に応じて修正することが、いかなる取り組みを行う場合にも望ましい。
"Women Face a Double Disadvantage in the Hybrid Workplace," HBR.org, March 24, 2022.