二重の不利益
職場において、女性が男性と比べてより頻繁に不利な立場に置かれることは、幅広い研究から立証されている。
現在、リモートワークの影響に関する研究はそれほど行われていないが、ハイブリッドな勤務形態はオフィスにいる人とそうでない人との間に、影響力の差を生むケースがあることが明らかになってきた。
そこでは性別と関係なく、リモートワークの人が不利になりやすいと考えられる十分な理由がある。要するに、リモートで働く女性は2つの意味で不利になる可能性があるということだ。
この二重の不利益をもたらす主な要因は以下の3つだ。
●メンタリングやスポンサーシップへのアクセス
会社で成功を収めるには、メンタリング関係や強力なスポンサーが重要であることが研究で示されている。しかし、女性はネットワークを構築したり、キャリアを強力にサポートしてくれる支持者を募ったりすることが困難な場合が多い。
同時に、リモートワーク中は心身の健康や出世に関心を持ってくれる人たちの目に留まりにくいので、メンタリングやスポンサーシップの関係を築くことが難しくなる。相談に乗ってもらったり、ランチに出かけたりすることで、インフォーマルなつながりを構築する、あるいは関係を強化するような機会も減少する。
●コミットメントに関する思い込み
女性は男性よりも仕事やキャリアに熱心でないと思われがちで、特に子どもを持つ女性に対してその傾向が強くなることが、ステレオタイプに関する調査で確認されている。
女性は時に、パートタイム勤務への移行など、キャリアを妨害するような対応を勧められることもある。また、リモートワークでは懸命に働いても同僚や上司の目に留まりにくいため、オフィス勤務の同僚よりも熱心でないと見なされる恐れがある。
●発言し、耳を傾けてもらう
特に男性中心の職場では、女性は男性よりも会議中あるいは上司に対する発言をしにくいことがある。注意深く話を聞いてもらえなかったり、真剣に捉えてもらえなかったりする可能性もあり(あるいはそうなることを恐れて)、職場の心理的安全性が低いと感じる。
また、リモートワーク中の人は性別に関係なく、発言し、話を聞いてもらうことが難しい。特に全員がリモートで働いていない場合は、同僚と同じ部屋で座って働いている時と比べて、適切なタイミングでコメントを挟んだり、不評を買っている点を指摘したりすることがいっそう困難になることがある。
このような問題は、相互に悪い影響をもたらす可能性がある。米国の社会人1000人以上を対象にカタリストが行った調査で、女性ビジネスリーダーの45%がバーチャル会議では女性が発言しにくいと回答し、20%の女性がビデオ通話中に同僚から無視されたり、見過ごされたりしたと感じたことがあると回答したのは、驚くべきことではないかもしれない。