同僚と1対1で話をする
メンタルヘルスの問題で苦しんでいるかもしれない人に、いつ、どのように関わればよいのか。その答えは難しい。特に職場で、精神疾患について話すことは簡単ではない。実際にメンタルヘルスの不調を抱える相手と話すとなれば、なおさらだ。
相手のことを考えずに結論を急いだり、一方的に判断していると思われる行動を取ったりすべきではない。あなたは何も、同僚の感情を逆撫でしたり、傷つけたりしようとしているわけではない。当然ながら、仕事と個人の境界線を尊重したいと思っている。
深刻な精神疾患を抱える人と話をすることは、特に難しいかもしれない。彼らはスティグマを経験していることも多く、メンタルヘルスの問題について話すのを極端に嫌がるからだ。
誰かと話をする前は、その相手が悩みを抱えているサインを出していないか、本来の繊細さを隠していないかについて、目と耳で確認する。たとえば、深刻な慢性疾患を抱えている同僚は、自分の感情は打ち明けても、診断結果は教えようとしないかもしれない。また、自分自身に対してスティグマを抱いたり、他者のスティグマを内在化したりすることで、周囲のネガティブな思い込みの影響を増幅させることもある。
さらに、精神疾患を抱える人は、自分は偏見や差別、ステレオタイプ化を経験することになるだろうと考え、実際にその通りのスティグマを経験する可能性もある。これらの理由から、彼らはスティグマや拒絶に対して、ことさら敏感になりやすい。
メンタルヘルスの問題を抱える相手と会話をする際は、以下に挙げる戦略や配慮を頭に入れておこう。
●自分自身の準備を整える
メンタルヘルスに関する自分自身の暗黙の偏見を振り返り、それを修正することは、同僚のアライになることに役立つ。
あなたにスティグマを助長するつもりはないかもしれないが、意図せずとも相手を傷つけることがある。メンタルヘルスの問題や、その問題に対処している人に対して、あなたが持っている可能性がある思い込みや先入観について考える。そのうえで、それらを手放すのだ。
同僚にとってオープンで話しやすい状況をつくり、あなた自身の弱さやメンタルヘルスの問題に関する経験を共有することを検討しよう。あなたが直接、あるいは他の人間関係を通じて、似たような経験をしたことがある場合は、高い説得力を持って会話を始めるきっかけとなる。自分と相手をより対等な立場に置き、共感と理解を示すのだ。
アライになるには、忍耐力、穏やかな粘り強さ、そして創造性が必要だ。同僚を慰めようとした時に最初はうまくいかなくても、いら立ったり、気を落としたりしてはいけない。このような会話が目指すのは、同僚が自分の苦悩について語るのを助け、自分に何かできるか、どのように手を差し伸べればよいかを尋ねることで相手をサポートし、会社や医療保険会社が提供する福利厚生やリソースを穏やかに伝えることだ。
●よいタイミングを見つける
同僚の精神状態や行動に大きな変化を感じた場合、その人物と会話を始めたいと思うだろう。集中力の低下、締切の遅れ、仕事の質の低下、コミュニケーションの減少、不安げな様子、遅刻、原因不明のたび重なる欠勤といった変化に注意しよう。
そのような会話は個人の判断で行うべきだ、あるいはマネジャーやHR部門が対処すべきだと考え、自分から関わらないようにする人もいるだろう。しかし、あなたがその人物と親しければ、問題を特定しやすい立場にあり、友好的かつ思いやりのあるやり方で、本人に声をかけることができるかもしれない。
重要なのは、タイミングだ。同僚がリラックスして、声をかけやすそうな「調子のいい日」を選ぼう。
高機能不安障害を患う人のように、自分の苦悩や仕事の不安を表に出さない人もいる。外見や仕事ぶりだけで、その人が苦しんでいないと決めつけることはできない。
同僚が理解と共感を示す職場文化を醸成することが、必要な時に快く手を差し伸べたり、サポートを求めたりする助けとなる。HR部門とマネジャーはメンタルヘルスハンドブックなどのリソースを用意し、誰もが簡単にアクセスできるようにすべきだ。





