
職場でメンタルヘルスの重要性が叫ばれる一方、問題を抱えた従業員にはスティグマ(負の烙印)がつきまとう。「メンタルヘルスの問題を抱えていると、有意義な貢献ができない」という思い込みからは、偏見しか生まれない。誰もがメンタルヘルスの問題を抱える可能性があること、そこから回復できることを理解し、誰にとってもサポーティブな職場をつくるには、一人ひとりがメンタルヘルスのアライ(理解者・支援者)になることが欠かせない。従業員エンゲージメント、生産性、忠誠心の向上といったポジティブな効果が期待できるからだ。本稿では、共感と思いやりを持ってスティグマに対抗し、メンタルヘルスのアライになるための具体的な方法を論じる。
あなたも人生のどこかの時点で、メンタルヘルスの問題を経験することがあるだろう。その可能性を認識していれば、職場でメンタルヘルスのアライ(理解者・支援者)となり、メンタルヘルスの問題を抱えている同僚に共感を持って接しようと思えるはずだ。自分が似たよう状況に陥った時は、同じように相手から共感を持って接してほしいと思うことだろう。
とはいえ、メンタルヘルスに関するスティグマ(負の烙印)と情報不足から、多くの職場で問題が生じている。メンタルヘルスの問題を抱えている人は有意義な貢献ができない、という社会通念や思い込みは、意識的および無意識のバイアスにつながる。
スティグマとその破壊的な影響を絶つために、私たちは協力しなければならない。メンタルヘルスの問題で苦しんでも、私たちはそこから回復することができる。互いにアライとなり、すべての従業員にとってサポーティブな職場をつくるために協働することで、家庭でも職場でもさらに成長できるのだ。
職場でメンタルヘルスのアライになるということは、そのような問題に悩む従業員が「自分は大切にされている。必要とされている」と感じられるように手助けするということだ。それにより、従業員エンゲージメントや生産性、忠誠心の向上をはじめとして、長期的にポジティブな効果が期待できる。
また、同僚間の関係を強化し、深化させることは、より広範な従業員コミュニティに利益をもたらす。自分が誰かにサポートされると、自分も誰かをサポートしたくなるものであり、自己強化の好循環が生まれるのだ。
メンタルヘルスのアライになるために、最も効果的な方法がいくつかある。問題を抱えている同僚と1対1で話すこと、サポーティブな言葉を使うこと、自分自身も同僚もメンタルヘルスについて学ぶこと、グループのエンゲージメントを高めること、そして支援が必要な従業員をサポートするようなポリシーを策定することだ。