●ワークとライフの「バランス」ではなく「調和」を追求する

 25~45歳といえば、キャリアの成長が最も加速すると同時に、私生活の責任が急激に重くなり始める時期でもある。結婚して子どもを育てたり、高齢の親の介護をしたりしながら、ネットワーキングのイベントや能力開発のカンファレンスに参加し、さらに地域コミュニティや非営利団体、子どもの学校の委員会まで参加する場合、ワークライフバランスを実現することは不可能に等しい。

 この世代の労働者は、ワークライフバランスよりもワークライフアライメントすなわち、仕事と私生活の調和を求めている。仕事に投じる時間だけを考えるのではなく、仕事を通じて仕事以外の人生に投じる時間がより充実したものになるのか、それとも仕事によって仕事以外の人生の足を引っ張られるのかに関心を払うのだ。

 たとえば、筆者らの調査に回答した人の65%が、職場でどのチームに配属されるか、どのプロジェクトに割り当てられるかについて、自分でもっとコントロールしたいと考えていた。また、自分の時間をどのように使うか、副業を行うかどうかに関して、もっと自由に決めたいと考えていることがわかった。

 出世して、社内の地位が高くなるにつれ、自分の時間をもっとコントロールできるようになる。そのようなイメージを持つ人もいるかもしれない。しかし、現実は正反対だ。女性はその傾向が特に強いため、男性に比べて離職する人が非常に多い。

 日々の業務を通じて、自分が望む通りのキャリアを実現し、成長し続ける家族を大切に育て、自分の価値観に沿って行動できているのか、従業員に尋ねよう。これらの問いの答えに基づき、従業員が抱えている問題の解決に向けて、一緒に取り組めばよい。

 ●何が従業員を突き動かしているかを理解し、職務内容をともに再設計する

 筆者の調査結果を見る限り、現状で最も欠けているのは、従業員とリーダーの関係構築だ。ほぼすべての回答者が、自分を鼓舞してくれるリーダーと働きたいと述べているが、実際にそのようなリーダーに恵まれていると回答した労働者は36%に留まった。リーダーは部下との関係を築くために努力を払うことで、この不足を埋め、部下のモチベーションを引き出せるかもしれない。

 従業員を突き動かしているものが何かを理解するために、いまの職場で働こうと思ったそもそもの理由を尋ねよう。会社の理念に共鳴したのか、組織やチームに惹かれたのか、あるいは給料が魅力だったのか。それらの要素は、いまもエネルギーの源泉になっているのか。

 この時、従業員の回答をそのまま受け止めることが重要だ。従業員の言葉は、予想を裏切るものだったり、興奮を覚えるようなものだったり、困惑させられるようなものだったりするかもしれないが、あなたがチームメンバーに対する理解を深めるのに役立つ。

 そのような理解が深まるほど、従業員が意義を感じることのできるプロジェクトを割り振れるようになり、その結果、日ごと、週ごと、四半期ごとの目標を適切に再設定できるようになる。また、従業員を突き動かしている要素を深く理解することで、会社での業務が将来の個人的ニーズとどれほど強く結びついているか示せるだろう。