●持続的な関係性に投資し、測定する
人脈構築の価値は、その時だけに留まらないことが多い。一時的にプロジェクトをサポートしてくれた同僚が、後日、新しい仕事を紹介してくれたり、新たな機会を提供してくれたりすることもある。そのような関係が新たな扉を開いてくれるのか、その扉がどのように開かれるのかを完璧に予想することはできないが、特にソーシャルスキルを重視する業界で働くプロフェッショナルは、ネットワークに投資する動機が強い。
単に仕事の世界を覗きたいだけのインターン生であれば、このようなネットワークを構築して活用する意義を理解しにくいかもしれない。一方で、アメリカズ・プロミス・アライアンスの研究では、有色人種と低所得世帯の若者は、キャリアの進展には人脈とソーシャルキャピタルが不可欠だと考えているが、その構築に苦労していることが示された。
インターン生が、社内で人脈を形成するためのスキル、マインドセット、自信を身につけたら、サマーインターンシップ終了後も維持される貴重なソーシャルキャピタルを獲得することができる。的を絞った人脈構築や関係構築のトレーニングは有益だ。
社会企業のソーシャル・キャピタル・ビルダーズは、社会に出る若者に対して、金融リテラシーならぬソーシャルキャピタルリテラシーに焦点を当てた「ファンデーションズ・イン・ソーシャルキャピタル・リテラシー」というプログラムを提供している。
また、若者のメンタリングに取り組む団体のメンターは、インターン生とスーパーバイザーのために、関係構築とネットワーキングのスキルを高めるコネクト・フォーカス・グローというカリキュラムを生み出した。
このような取り組みを実践すれば、あなたの会社のインターン生が実際にどのように人とつながっているかを把握するために、積極的な手段を利用できる。データを収集し、インターン生のバックグラウンド別に分類することは、彼らにとって何が功を奏し、何がそうでないかに関する前提をチェックするうえで不可欠だ。
人間関係を構築できたインターン生は誰か、その関係がどれだけサポートやアドバイス、フィードバックといったリソースを提供できているかは、とてもシンプルな方法で把握できる。インターン生と交流があった人物を毎週チェックすることで、スーパーバイザーは、インターン生が人とのつながりを持てているか、孤立していないかを見極めることができる。
より深く追求したい経営者は、インターン生が新しいつながりを記録し、振り返ることができるよう、インターンシップ期間中のネットワークマップの作成を求めてもよい。また、すでにインターン調査を利用している場合は、社会学でいうネームジェネレーターやポジションジェネレーターを活用した調査項目を組み込むこともできる。それによって、インターン生がサマーインターンシップを体験した前と後で、どのような人脈を構築できたかを測定することができる。
企業は人材パイプラインを多様化するための戦略として、これまで以上にインターンシップ(あるいは「プレインターンシップ」)に目を向けつつある。インターンシップが労働市場における不平等を永続化させるのではなく、インクルージョンを推進するエンジンとして機能するためには、金銭とソーシャルキャピタルの両面でインターン生に報いることが重要だ。
インターンシップへのアクセス、とりわけ有給インターンシップへのアクセスを拡大しようとする呼びかけは、善意によるものだ。それが十分に効果を発揮するためには、インターンシップの過程で、学生が誰と知り合うかを注視することが重要である。
"Don't Just Pay Interns, Help Them Build Networks," HBR.org, May 23, 2022.