●子どもについての思い出を尊重する

 もし、職場復帰した社員が我が子との死別体験について話そうとするのであれば、話題を避けてはならない。ただし、あくまでも聞き役に徹することだ。仮に、亡くした子どもの名前に言及した時には、「どうしてその名前をつけたの?」といったシンプルな問いを投げかけることもできるだろう。そうすることによって、子どものことを思い出し、話をする機会をつくることができる。

 カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の臨床助教授で精神医学を担当するキャサリン・マルーフ博士は、3カ月に1度といったペースで、子どもを亡くした社員の状況を引き続き確認することを勧めている。たとえば、「調子はどう?」「何か話したいことはある?」と尋ねることで、あなたが相手のことを気にかけていて、忘れてはいないというシグナルを送ることができる。

 また、子どもの命日には、感情が激しく揺れ動く可能性があることを理解しておきたい。あらかじめカレンダーに記入しておき、その日は休暇を与えるようにする。

 子どもを失った社員の苦痛を取り除くことはできないが、職場復帰の苦痛を和らげることは可能だ。あなたが柔軟に対応し、思いやりを示し、忍耐強く接し、本人の望みを尊重すれば、子どもと死別した社員は、職場で自分の感情を認めてもらえたと感じ、自分が支えられていると思えるはずだ。

 

“How to Support a Colleague Who Just Lost a Baby,” HBR.org, June 08, 2022.